パーキンソン病の訪問看護は医療保険?介護保険?助成制度についても解説

訪問看護

パーキンソン病の訪問看護は医療保険か介護保険か迷うことはありませんか?

パーキンソン病は、症状が進行してくると歩行の不安定さから転倒・骨折を起こし、入院や訪問看護、介護を必要とする方がたくさんいます。

60歳以上の100人に一人の割合でみられるパーキンソン病。医療や介護に携わる皆さんは、パーキンソン病の患者さんに関わる機会も非常に多いのではないでしょうか。

しかし、訪問看護における医療保険制度はやや複雑です。
パーキンソン病で介護認定を受けている方への訪問看護は、医療保険か介護保険かどちらが優先されるのでしょうか。

今回は、パーキンソン病の訪問看護における医療保険制度や医療費助成制度について解説します。

パーキンソン病の訪問看護はどちらの保険が優先?

パーキンソン病は、症状の程度や生活のしづらさにより重症度分類されています。

結論からいうと、パーキンソン病の中でも、ホーエン・ヤール重症度分類Ⅲ度以上かつ、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度に該当する方への訪問看護は、医療保険が優先です。

医療保険による訪問看護は、一日1回、週3回まで、という決まりがありますが、パーキンソン病で医療保険優先になる場合は、一日3回、週4回以上の訪問が可能、さらに、2か所の訪問看護事業所の利用も可能となります。

パーキンソン病の重症度が高くなると、訪問看護においては医療保険が優先されるのです。

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パーキンソン病の重症度評価とは?

パーキンソン病は、運動障害を5段階で示すホーエン・ヤール重症度分類と日常生活機能障害を3段階で示す厚生労働省の研究班による「生活機能障害度」の2つで重症度を評価します。

重症度を適切に評価することで、治療方針の決定や薬の調整、住宅の環境調整など、適した支援につなげることができます。

ホーエン・ヤールの重症度分類とは?

数字が上がるほど、重症度が高くなります。

Ⅰ度体の片側だけに手足のふるえや筋肉のこわばりがみられる。 体の障害はないか、あっても軽い。
Ⅱ度両方の手足のふるえ、両側の筋肉のこわばりなどがみられる。 日常の生活や仕事がやや不便になる。
Ⅲ度小刻みに歩く、すくみ足がみられる。方向転換のとき転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが、介助なしに過ごせる。 職種によっては仕事を続けられる。
Ⅳ度立ち上がる、歩くなどが難しくなる。生活のさまざまな場面で、介助が必要になってくる。
Ⅴ度車いすが必要になる。ベッドで寝ていることが多くなる。

必ずしも、Ⅰ度からⅤ度に進んでいくわけではありません。

適切な治療やリハビリを受けることによって、Ⅱ度からⅠ度へと良くなることもあります。

生活機能障害度とは?

数字が上がるほど、重症度が高くなります。

Ⅰ度日常生活、通院にほとんど介助がいらない。
Ⅱ度日常生活、通院に部分的な介助が必要になる。
Ⅲ度日常生活に全面的な介助が必要で、自分だけで、歩いたり、立ち上がったりできない。

訪問看護指示書で注意することとは?

パーキンソン病の訪問看護において医療保険が適応されるためには、訪問看護指示書に「ホーン・ヤールの重症度分類かつ生活機能障害度」の記載が必要です。

重症度分類と生活機能障害度の記載がなく、要介護認定を受けている対象者の場合は、介護保険が適応されます。

訪問看護においては、主治医から交付された訪問看護指示書をしっかりと確認しましょう。

訪問看護事業所側から、主治医へホーエン・ヤール重症度分類と生活機能障害度の記載を依頼することもあります。

さらに、ホーエン・ヤールの重症度分類がⅢ度以上であり、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度の場合には、指定難病受給者証の申請を行うこともできます。

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パーキンソン病の指定難病受給者証とは?

パーキンソン病で、ホーエン・ヤール重症度分類Ⅲ度以上かつ、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度に該当する方は、難病医療費の助成制度を受けることができます。

指定難病受給者証を取得し、医療費の助成を受けることで、長期療養にかかる経済的負担を軽減させることができます。

パーキンソン病の通院費や薬代、訪問看護を合わせた医療費は、かなりの高額になることが予想されるため、指定難病受給者証の申請はしておくべきでしょう。

訪問看護を医療保険で導入することになった際に、ケアマネさんや訪問看護事業所の方は、利用者が指定難病受給者証の取得をしているかどうかを確認する必要があります。

もし、指定難病受給者証を取得されていなければ、申請についてアドバイスしてあげましょう。

指定難病受給者証取得の流れ

  • 住民票のある都道府県・指定都市に必要書類を提出(申請窓口は各都道府県によって異なるため、詳しくは各都道府県に問い合わせが必要。多くは保健所が窓口です)
  • 都道府県・指定都市による審査(審査には約3か月かかります)
  • 都道府県・指定都市による指定難病受給者証の交付(有効期限は原則1年間以内。更新申請が必要です)

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 診断書
  • 住民票
  • 患者さんと同一の医療保険に加入している全員(世帯)の所得を確認できる書類(市町村民税(非)課税証明書など)
  • 保険証の写し
  • 同意書

医療費の自己負担上限額(月額)は?

階層区分階層区分の基準患者負担割合2割
自己負担上限額(通院+入院)
一般高額かつ長期 
人工呼吸器等装着者
生活保護000
低所得Ⅰ市町村民税非課税世帯本人年収
~80万円
2,5002,5001,000
低所得Ⅱ本人年収
80万円~
5,0005,000
一般所得Ⅰ市町村民税課税以上~7.1万円未満10,0005,000
一般所得Ⅱ市町村民税7.1万円以上~25.1万円未満20,00010,000
上位所得市町村民税25.1万円以上30,00020,000

詳しくは、難病情報センターや各都道府県のHPをご覧ください。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

まとめ:パーキンソン病のホーエン・ヤール重症度分類Ⅲ度以上かつ生活機能障害度Ⅱ度またはⅢ度に該当する場合は、訪問看護に医療保険が適応されます!

パーキンソン病の方に訪問看護を導入する場合は、ケアマネさんや訪問看護事業所の管理者の方は、利用者さんの重症度分類を確認しましょう。

すでに指定難病受給者証を取得されている方の場合は訪問看護も医療保険適応になりますが、取得されていない方の場合は主治医に確認する必要があります。

ケアマネさんや訪問看護事業所の管理者の方は、パーキンソン病に関する病態生理はもちろん、適応になる保険制度や医療費助成制度についても知識を深めておきましょう。

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