東京商工リサーチの調査によると、1月から9月に倒産した介護事業者数が100件となり、去年の51件の倍の過去最多になった。10月にも倒産事業者が相次ぎ、調査以降最多のハイペースとなった。
倒産事業者の内訳は最も多いのが「通所・短期入所」が45件、次に「訪問介護」が36件、「有料老人ホーム」が10件と前の年の同じ時期よりも増加している。
ここまでのハイペースとなった要因は、介護業界の人材不足はもとより、感染症の拡大を懸念しサービス利用を控えた収益減少、国や自治体からの事業者支援の減少、さらに物価高による光熱費や燃料費の高騰となった。
IT活用でコスト削減 ガソリン代・残業代も
都内で約30か所デイサービスを運営する会社では、一日平均700名の利用者がいる。
物価高やガソリンなどの燃料費高騰により、運営経費が昨年の同月より約30%も上昇。ITを活用し経費悪減に踏み切った。
利用者が多ければ多いほどガソリン代なども燃料費もかかる。検温など従業員の手間もかかる作業が捗らなければ、残業にもなり、事業者は残業代など人件費も軽視できない。そこで新たなシステムを導入し、燃料費や人件費の削減につなげている。
例えば、利用者送迎では回る先の住所を入力し、効率のいい送迎ルートにすることでガソリン代の節約になる。
利用者の体温は、データ入力にして記入や書類管理の時間を減らし、残業時間を減らすことで、人件費削減につなげている。
介護施設は地域のインフラ 減らしてはいけない
「ベストリハ」の山本健太取締役はこう話す。
「介護事業所は地域のインフラでこれから高齢者が増えていく中で、減ってはいけないと思っている。ITを活用して生産性を上げることで、今の状況をなんとか乗り切りたい」
世界的にみても高齢社会トップの日本。少子化も改善せず、年々高齢化に拍車がかかる。そのため介護関連施設はどこの地域でもインフラ的な役割を担っているにも関わらず、運営・経営に立ち行かなくなり、倒産が相次いでいる。
高齢化社会で必要な介護事業。国や自治体からの支援は勿論、事業者側でも、コスト削減のために必要なシステム導入など、今までにない運営側の対策が経営に影響していく。
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