訪問介護の特定事業所加算2024年改定|要件とメリットを徹底解説

訪問介護

訪問介護事業所の管理者の皆さまの中には、特定事業所加算の取得について頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか?この記事では、最新の算定要件や加算率、そして取得によるメリットを詳しく解説します。質の高いサービス提供と収益向上の両立を目指す皆さまに、特定事業所加算の重要性と活用方法をお伝えしますので、ぜひ参考になさってください。

特定事業所加算は、訪問介護事業所の質の向上と安定的な事業運営を支援するための制度です。2024年の介護報酬改定では、この加算制度に重要な変更が加えられました。以下では、特定事業所加算の基本的な概念と2024年改定による主な変更点について解説します。

特定事業所加算は、介護福祉士等の質の高い人材を確保し、サービスの質を向上させる体制を構築している訪問介護事業所を評価する制度です。この加算は、事業所の体制整備人材確保重度利用者への対応能力を総合的に評価します。加算を取得することで、事業所は収益を増やすだけでなく、より高品質なサービスを提供していることを示すことができます。

2024年の介護報酬改定では、特定事業所加算の算定要件に重要な変更が加えられました。主な変更点としては、看取り期対応に関する新たな要件が追加されています。

具体的には、病院等の看護師と連携し24時間連絡及び訪問対応が可能であり、看取り期の対応方針の策定と研修を実施することが求められるようになりました。また、重度者等対応要件の選択肢が拡大され、看取り期の利用者への対応実績が1人以上あることも新たな選択肢として加えられました。

2024年改定後の特定事業所加算は、5つの区分に分類されています。各区分の加算率は以下の通りです。

特定事業所加算(I)所定単位数の20%
特定事業所加算(II)所定単位数の10%
特定事業所加算(III)所定単位数の10%
特定事業所加算(IV)所定単位数の3%
特定事業所加算(V)所定単位数の3%

特筆すべき点として、新設された加算(V)は他の加算区分と併算定が可能となっています。各加算区分の算定には、体制要件、人材要件、重度者等対応要件の3つの要件を満たす必要があります。

特定事業所加算の算定要件は、体制要件、人材要件、重度者等対応要件の3つに大別されます。これらの要件は、事業所の運営体制、人材の質、サービス提供能力を総合的に評価するものです。ここからは、各要件の詳細と達成のポイントについて解説します。

体制要件は、事業所が質の高いサービスを提供するための基本的な体制を整えているかを評価します。主な要件は以下のとおりです。

  1. 個別の研修計画の策定と実施
  2. 技術指導を目的とした定期的な会議の開催
  3. サービス提供責任者と訪問介護員等の間の情報伝達・報告体制の整備
  4. 健康診断の定期的な実施体制の整備
  5. 緊急時等の対応方法の利用者への明示

これらの要件を達成するためには、計画的な研修の実施、効果的な会議運営、明確な情報共有システムの構築が重要です。

人材要件は、事業所の介護職員の資格や経験を評価します。要件は以下のとおりです。

  1. 介護福祉士の割合が30%以上、または介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者の割合が50%以上
  2. すべてのサービス提供責任者が実務経験3年以上または実務経験5年以上の実務者研修修了者
  3. 基準を上回る常勤サービス提供責任者の配置
  4. 勤続年数7年以上の訪問介護員等が30%以上

これらの要件を満たすためには、計画的な人材育成と採用戦略が不可欠です。特に、介護福祉士の資格取得支援や長期勤続者の確保に注力することが重要です。

重度者等対応要件は、事業所の重度利用者への対応能力を評価します。要件は以下のとおりです。

  1. 要介護4・5、日常生活自立度III・IV・V、または痰の吸引等を必要とする利用者の割合が20%以上
  2. 看取り期の利用者への対応実績が1人以上(2024年改定で追加)

これらの要件を満たすためには、重度利用者へのケア技術の向上と、医療機関との連携強化が重要です。看取り期対応の新要件に関しては、24時間対応体制の構築と、看取り期のケアに関する研修の実施が求められます。

特定事業所加算の取得は、訪問介護事業所の経営に多大な影響を与えます。収益の向上だけでなく、サービスの質の向上や人材確保にも寄与します。以下では、特定事業所加算取得がもたらす具体的なメリットについて解説します。

特定事業所加算の取得は、事業所の収益向上に直接的に寄与します。最上位区分の加算率は20%と高く、他の加算に比べて大きな収益増加が見込めます。例えば、月の報酬が150万円の事業所が加算IIを取得した場合、年間180万円の売上増加が期待できます。

また、特定事業所加算は計画的に算定できる点が特徴です。サービス提供の実績に関する項目が少ないため、安定した収益の見込みを立てやすくなります。これにより、2024年度介護報酬改定による基本報酬の減額を補い、経営の安定化を図ることができます。

特定事業所加算の取得は、サービス品質の向上にも直結します。加算の算定要件を満たすことで、事業所の体制が整備され、職員の技術力が向上し、結果として提供されるサービスの質が高まります。

質の高いサービスは利用者満足度の向上につながり、口コミによる新規利用者の獲得や既存利用者の継続利用につながります。これは長期的な事業の安定性と成長に寄与します。また、高品質なサービスを提供する事業所としての評判は、地域での信頼性向上にもつながり、競合他社との差別化にも有効です。

特定事業所加算の取得は、スタッフのモチベーション向上人材確保にも大きな効果があります。加算取得のための体制整備や研修実施は、スタッフの専門性向上につながり、仕事への誇りとやりがいを高めます。

また、加算による収益増加は、スタッフの処遇改善にも活用できます。これは既存スタッフの定着率向上だけでなく、新たな人材の獲得にも有利に働きます。特に、介護福祉士等の有資格者の割合を高める要件は、質の高い人材の確保につながります。

特定事業所加算は、訪問介護事業所の質の向上と経営安定化に大きく寄与する重要な制度です。2024年の介護報酬改定により、さらに充実した内容となりました。この加算を効果的に活用することで、以下のような事業所運営の展望が開けます。この機会を活かし、利用者、職員、そして事業所自体がともに成長できる、持続可能な訪問介護サービスの実現を目指しましょう。

特定事業所加算の取得を目指す事業所には、介護ソフトの利用がおすすめです。介護ソフトを利用すれば、特定事業所加算の要件でも特にハードルの高い、サービス提供責任者と訪問介護員間の情報伝達報告体制がクリアできます。

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訪問介護事業所のサービス向上と安定的な運営のためにも、ぜひご検討ください。

投稿者プロフィール

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。

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