- 薬のセッティングを頼まれたけれどヘルパーがやっていいの?
- 認知症が進んで薬の服用を忘れているみたいだけど大丈夫かな?
- 内服を忘れないようにする方法が知りたい!
ご利用者のお薬についてこのようなお悩みがある方もいるのではないでしょうか。
服薬介助はご利用者の健康に関わる大切な介助です。
しかし、ヘルパーにはできることとできないことが決められているため、どこまでお手伝いして良いのか判断に困ってしまうことも多くあります。
この記事ではヘルパーの薬のセッティングについて解説します。
適切な介助で正しい内服のお手伝いができるようにしましょう。
ヘルパーが服薬介助でできること・できないこと
服薬介助とは、処方されている利用者さんのお薬を正しく服用できるように手助けすることです。
高齢になると認知機能の低下から薬の管理が難しくなります。持病や体の不調で病院へ行く機会が増えるため、内服薬の数・種類が多くなってしまうのも薬の管理を困難にする要因です。
ヘルパーは、健康維持に大切な内服をご利用者が正しく服用できるようにお手伝いしなければいけません。しかし、医療行為に該当する援助はできないため、ヘルパーができる範囲を確認しておくことが大切です。
どこまで服薬介助を手伝ってもOKなのか確認しておきましょう。
ヘルパーができる服薬介助は「準備・声掛け・確認」
まず、厚生労働省の老計第10号でヘルパーができる服薬介助を確認しておきましょう。
1-5服薬介助
引用:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」
水の準備→配剤された薬をテーブルの上に出し、確認(飲み忘れないようにする)→本人が薬を飲むのを手伝う→後かたづけ、確認
2-6買い物・薬の受け取り
引用:厚生労働省「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」
日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
薬の受け取り
まとめると、ヘルパーが行って良い服薬介助は下記の行為ということになります。
- 薬局薬を受け取りに行く
- 服用時の水を準備する
- 配薬されている薬を確認しテーブルにセッティングする
- 薬を飲むように声を掛ける、手伝う
- 飲み忘れ、飲みこぼし等ないか確認する
- 後片付け(薬袋、コップなどの始末)
- 服用後の体調を確認
ヘルパーができない服薬介助も理解しておくことが大切
ヘルパーができる服薬介助を解説しましたが、ヘルパーがしてはならない服薬介助にはどのようなパターンがあるのかも確認しておくことが大切です。
ヘルパーがしてはならない服薬介助の一例は以下の通りです。
- 服薬カレンダーに薬をセットする
- シートから薬を取り出して服薬介助をする
- 容態が安定していない方の服薬介助
- 医療的な知識を必要とする方の服薬介助
- 薬の副作用や薬の内容を調整中の方の服薬介助
ヘルパーは、シートに入った薬を1つずつ出しての服薬介助ができません。ヘルパーが介助する際の薬は、服用のタイミングごとに一包化されている必要があります。
また、上記にあげたような症状が安定していない方の服薬介助も行うことができません。医師や看護師による経過観察が必要なケースは、同じ服薬介助でも医療行為に該当します。
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外用薬も介助できる範囲が決められている
ヘルパーは医師や看護師の指示のもと、一部の外用薬の介助も認められています。
- 褥瘡処置を除いた軟膏塗布
- 軽微な切り傷、擦り傷、やけどの処置
- 湿布の貼布
- 点眼薬の点眼
- 座薬の挿入
- 点鼻薬の介助
参考:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の 解釈について(通知)」
ただし、内服介助と同様、症状が安定していない場合は介助できないケースもあるので注意が必要です。
ヘルパーが適切な薬のセッティングを行うための工夫
服薬介助にはできることとできないことが決められており、ヘルパーが何もかもサポートするのは困難です。
また、ご利用者の心身の状況や環境によっても服薬介助で必要な支援内容も異なります。ご利用者の自立支援をサポートできる工夫や、ヘルパーが介護保険のルールを守りながら服薬介助できる方法を考えてみましょう。
飲みやすいように薬を一包化してもらう
説明してきた通り、ヘルパーが薬のセッティングや服薬介助ができるのは、処方されたお薬がタイミングごとにまとめて一包化されている内服薬です。基本的には薬を一包化してもらうのには医師の指示が必要です。一度、受診の際に相談してみましょう。
薬を一包化してもらえれば、ご利用者の薬の飲み忘れや飲み過ぎを防止することができ、飲み忘れがないかの確認もしやすくなります。
手の力が弱くなってシートから薬が取り出しにくくなった方が、自身で服用できるようになることは自立支援にもつながります。
ただし、一包化には少し費用がかかってしまうのでご利用者に相談してから決めましょう。
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薬の内容やタイミングを見直してもらう
高齢者の方は通院の機会が増え、処方される内服薬の種類や数が多くなってしまっている方も多いでしょう。
何のために処方された薬なのか分からず、漫然と内服を続けている方も少なくありません。薬が多くなっている方は、主治医に必要な薬を見直してもらいましょう。
また、分かりやすいように処方を1日3回から2回や1回へ変更してもらうなどシンプルにしてもらうのも一つです。内服を忘れる方には、貼付剤への変更で内服の数を減らせるケースもあります。
どうしても時間や回数を変更できない内服薬もあると思いますが、できるだけヘルパーが訪問しやすいタイミングに服用時間を変えてもらうと服薬状況のサポートが可能になります。
食卓に注意書きをしておく
薬を服用するタイミングでヘルパーが訪問できない場合、食卓にメモを貼っておくと服用を思い出せるかもしれません。どうしても耳で聞いたことは忘れやすいため、ご利用者が見えやすい位置に注意書きしておくと忘れずにすみます。
常に見える位置に貼っていると関心が薄れてただの風景になってしまうので、食事の時に必ず使用するものや目にするものに貼っておくとハッと思い出せます。
お薬カレンダーやお薬管理ケースを使うとわかりやすくなる
ご自身で内服できるけれど、服用忘れが目立つようになってきた方には、お薬カレンダーやお薬管理ケースの活用がおすすめです。
カレンダーやお薬管理ケースにセットしてあれば、ご利用者がどの薬を服用すれば良いか一目瞭然。飲み忘れている場合もヘルパーが確認しやすくなります。
ただし、ヘルパーはお薬をカレンダーにセットできないため、薬剤師の居宅療養管理指導や訪問看護などの介護保険サービスを利用してセットしてもらうことが必要です。
カレンダーに一包化された薬がセットされていれば、ヘルパーが服薬の声掛けや飲み残しの確認をサポートできます。
薬のセッティングにおすすめの便利グッズ
ここからはキャプスおすすめのお薬管理グッズをご紹介します。
便利なグッズを活用し、薬の管理をスムーズに行いましょう!
壁にかけられる「お薬ポケット」
お薬ポケット
寸法 全体410×650㎜
ポケット60×90㎜
名刺入れ60×100㎜
お薬をタイミングごとに1週間分セッティングできるお薬ポケット。目につきやすい壁にかけておくことで薬の飲み忘れを防ぎます。透明なので、飲み忘れもすぐに発見できます。
軽量・フタ付き「お薬管理ケース」
お薬管理ケース
■1マスサイズ:69.5×23.5×79mm
■サイズ(mm):322×222×85
■セット内容:トレー×1個、フタ×1個、仕切板(青・赤・緑・黒)×各6枚、シール(用法・曜日・名前)×1枚
壁にかけるのに抵抗のある方はお薬管理ケースがおすすめ。タイミングごとに分類されているので順番に飲んでいけばOK。
仕切を外すと軟膏類等も収納できるので、処方内容に合わせてカスタマイズできます。
薬のセッティングを工夫して正しい服薬介助を
この記事では、ヘルパーができる薬のセッティングについて解説しました。
服薬介助は訪問介護の中でも特に注意が必要な援助の一つです。
飲み忘れや飲みこぼしなどに気づいたらすぐにサービス提供責任者やケアマネジャーに報告できるように日々の様子を観察するのもヘルパーの大切な役割です。ヘルパーの報告により必要な服薬介助の援助方法が検討され、ご利用者の健康が守られます。
高齢化社会の加速で、在宅介護の高齢者が増えればヘルパーが行える服薬介助の範囲も広がっていくかもしれません。常にサービス提供責任者に確認を取りながら、ヘルパーができる服薬介助を頭に入れておき、正しいサポートができるようにしておきましょう。
投稿者プロフィール
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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