放課後等デイサービスで効果的な遊びにはどんなものがあるでしょうか。
放課後等デイサービスは、障害のある子どもや発達に特性のある子どもをサポートする通所施設のひとつで、 学校や家庭以外の場で、子どもたちが日常生活で必要な訓練をおこなったり、学校や学童などと連携して支援を行う場所です。
そのため、ただ遊ぶのではなく、子どもたちの特性に合わせた「遊び」、子どもが楽しみつつも子供の成長に繋がる「遊び」を取り入れていきたいものです。
この記事では、放課後等デイサービスで実際に行われている「遊び」の目的や活動内容、その効果、私の体験談などを紹介しています。参考になれば嬉しいです。
そもそも放課後等デイサービスってどんなところ?
放課後等デイサービスとは児童福祉法によって、学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障がい児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう、と定められています。(児童福祉法第六条の二の二)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323M40000100011_20240401_506M60000002046
つまり、放課後等デイサービスとは、児童福祉法に基づく福祉サービスの一つで、障がいがある小学生・中学生・高校生(6歳~18歳)の子どもが利用できる通所の支援サービスです。障がいのある子どもだけでなく、発達に特性のある子どもの利用も幅広くおこなわれています。
放課後等デイサービスの利用は「就学」が条件となりますが、学校に籍があれば子どもが不登校となった場合でも、引き続き放課後等デイサービスを受けることは可能です。
放課後等デイサービスの支援内容は?
放課後等デイサービスは、身体や発達などに障害のある子どもが将来的に自立した生活を送れるよう、さまざまな活動を通してサポートしています。(厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」)
食事や排せつ動作など日常動作の獲得、集団・社会生活のトレーニングを目的とした指導や、レクリエーションも支援の一部です。
子どもたちの「できる!」を増やしていくことで、自己肯定感を育みます。
家庭や学校では補いきれない部分をサポートし、子どもたち自身の生活力を身につけることを目指しています。
放課後等デイサービスの遊びの大事なポイント3つ
では、放課後等デイサービスでは、どんな「遊び」を行ったらいいのでしょうか。
大事な3つのポイントがガイドラインに示されています。
- 自立支援や日常生活の充実を目指す
- 地域との交流を大切にする
- 創作活動、余暇の提供を行う
放課後等デイサービスでは様々な療育方法で支援をしますが、「遊び」の中にも個々の子どもの社会的なスキルやコミュニケーション能力を向上させることを目指します。
また、将来に向けての自立を見据えた活動にも取り組み、学校や学童での活動を踏まえて連携を図りながら支援することが求められています。
放課後等デイサービスでの遊びの目的と効果
遊びは、子どもの成長と発達にとって非常に重要です。子どもたちは遊ぶことで、身体的なスキルや認知能力、社会的なスキル、そして情緒的な安定を得ることができます。
放課後等デイサービスは、さまざまな遊びを取り入れることで、子どもたちが楽しく過ごしながら多くのスキルを学べる環境を提供しています。
子どもたちは遊びながら楽しみや喜びを感じ、リラックスしストレスの軽減が促されます。また、思い切り自由に身体を動かしたり声を出したりすることで、気分転換ができます。
他にも、グループ内での役割分担やルールの理解、他者の視点や感情への理解、集団に合わせることなども学べます。
放課後等デイサービスで行われる具体的な遊びと効果
では、放課後等デイサービスではどんなことをして遊んでいるのでしょうか?
身体を動かす遊び
身体を動かす遊びは、体力の増進や身体能力の向上だけでないスキルを学べます。
■サッカーやバドミントンなどのスポーツ
協調性やチームワークを学ぶ絶好の機会です。ルールを守りながら協力することを学びます。
■トランポリンやバランスボールなどの運動具を使った遊び
バランス感覚や体幹の強化に役立ちます。これらの遊具を使った活動は、子どもたちの運動能力を高めるだけでなく、楽しく体を動かす習慣が身に付きます。
■音楽に合わせて体を動かすダンスやリズム遊び
リズム感や身体遊びの表現力を育てます。音楽に合わせて体を動かすことは、情緒の安定にもつながります。
創作活動
創作活動は、子どもたちの創造力や集中力を育てる重要な活動です。
■絵画制作・紙や粘土、ビーズなどを使った工作活動
子どもの創造力を引き出す自己表現の一つです。
また、手先の器用さを養うための良い機会でもあります。作り上げることで、達成感や自信を得ます。
ゲーム
ゲームは、楽しみながら多くのスキルを学ぶことができる活動です。
■ボードゲームやカードゲーム
ルールを守りながら遊ぶことで社会性やコミュニケーション能力を高めます。
人気のゲームには、すごろく、UNO、将棋などがあります。負けることを学び、他人との関わり方を学びます。
■パズルやブロック遊び
問題解決能力や論理的思考を育てます。 特に複雑なパズルやブロックを完成させることは、達成感を味わえます。
野外活動
自然の中での遊びは、子どもたちの好奇心や探求心を刺激します。
■公園での鬼ごっこやかくれんぼなど
体力を養い、周囲と協力して遊ぶ楽しさを学びます。
■砂や水を使った遊び
触覚を刺激し、感覚統合の発達を促します。
■遠足やピクニック
子どもたちにとって特別な経験です。いつもと違った環境で遊び、適応力や社交性を育てます。自然の中で過ごすことで、自然や環境への興味もわきます。
季節行事やイベント
季節ごとの行事やイベントは、子どもたちにとって楽しい体験となり、社会性を育てます。
■夏祭り、ハロウィン、クリスマス会などの季節行事
季節の変化や文化を学びます。特別な衣装を着たり、飾り付けをしたりすることで、イベントに参加する楽しさもわかります。季節に合わせた制作(クリスマス飾りやハロウィンの小物など)を楽しむことで、友達とみんなで楽しむ、みんなで楽しみにして待つなどの社会性や将来への期待感なども理解が出来るようになります。
■誕生日会
誕生日を互いにお祝いすることは、他者を祝う喜びや感謝の気持ちを育てる良い機会になります。
音楽遊び
音楽は、子どもたちの情緒の安定やリズム感の発達に大いに役立ちます。
■楽器を演奏する
鈴、太鼓、ピアノなどの楽器を使って音楽を楽しみ、リズム感や音感を育てます。
■歌を歌う・遊び歌で遊ぶ
言語能力やリズム感を育てます。歌遊びは、言葉のリズムやメロディーを楽しむことで、言語発達にも良い影響を与えます。
他にもパソコンなどを用いたプログラムやソーシャルスキルプログラム、学習支援なども楽しみながら行えるように工夫されて提供されています。
実際のプログラムと体験談
実際に放課後等デイサービスで行われている遊びのプログラムと、私の体験をいくつか紹介します。
お買い物体験
お買い物は子どもにとってワクワクすることの一つです。
お金の扱い方や店内での買い物マナーを楽しく身につけるだけでなく、知らない場所でも落ち着いて行動するトレーニングにもなります。
外に出ての活動は、お店や地域の方に協力をお願いします。このような活動を通じて、少しずつ地域の理解が広まりました。
オリジナルすごろく
オリジナルの内容のすごろく遊びです。子どもたちと一緒に作っていくことも可能です。
子どもの特性に合わせてすごろくのお題を設定するのがポイントです。順番を守ったり、書いてあるお題をやって幾つ進むなどのルールを理解できます。
大きなすごろくをみんなで作れば、集団で物を作り上げるという達成感や協力関係も生まれます。
探し物競争
チームを作って、チームみんなで楽しく捜索しながらお題となったものを見つけていきます。終わった後は、それぞれが持ってきたものをきちんと元に戻して終了します。お題をなぞなぞにしたら、結果発表で盛り上がりました。
チームで話し合いながら行う作業は、コミュニケーション能力の向上や役割や立場の理解に繋がります。
私の体験談
ちなみに、私のクラスのADHDの子どもは、トランプが大好きです。家でトランプしたことがないその子は、トランプというゲームを理解し、「ババ抜き」が出来るようになるまで半年ほどかかりました。今でも、順番などのルールを守ることが難しい時もあります。近頃では、本人が嬉しそうに「今日もトランプ!」と友達と集まって待っている姿が見られるようになりました。
「おはじき」が大好きな子どももいます。おはじきは室内で簡単に出来て、素材そのものを楽しんだり指先でつまんだり、ジャラジャラと音を出して遊んだりいろいろなことができます。ただ、小さいので誤飲に注意しましょう。
まとめ
放課後等デイサービスでは障がいのある子どもでも無理なく、安全に楽しめるような工夫がされています。
遊びは子どもの好奇心をかき立てる絶好のツールです。やったことのない遊びでも「遊びたい!」「やってみたい!」というポジティブな思いが湧き上がり、実際にやってみて成功した喜びは、子どもの自信につながります。
放課後等デイサービスは、施設の形態もさまざまで受けられるプログラムは施設によって異なります。
自事業所に適したプログラムを検討し、それぞれの子どもの特性に合った支援で子どもたちを支えていきましょう。
投稿者プロフィール
- 介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。
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