親や家族に介護がいつ必要になるのかなんて誰も予想できません。いざ必要になった時、本人を助けてくれるサービスはたくさんあります。ですが、本 人を支える家族を助けてくれるサービスは少ないです。その為、いざ介護が自 分自身にふりかかって来ても大丈夫と言える心構えが必要です。介護に必要な最低限の技術やこんな時にはこんなコミュニケーションを。
今回は、介護福祉士を目指す皆さんへ事例を紹介し、“決して諦めない介護”についてお伝えできたらと思います。
白石 直美
東京都出身。一般企業で営業職などを経験後、福祉の世界へ。小学校の障害児クラスやグループホーム、訪問介護などで サービス提供責任者、デイサービスにて管理者業務等を含め7年間勤務後、居宅・訪問介護事業所の教育事業部に所属し、介護講師を経験。現在は、人材育成研修・サービス提供責任者研修・ソーシャルマナー研修・高校生に向けての介護研修といった講師業と共に、新規立上げ介護事業所のアドバイザーとして活動している。
『お母さん、何したい?』って聞いたら『う~ん』って。で、『 正月帰りたい?』と聞いたら『 帰りたい 』って。で、 『 帰って何したい?』って聞いたら、『 酒飲みたい 』って。 『これはいいことを言う』と、やりたいことを口にしたこ とが契機だった。「よし! 酒飲もう!そのためにはリハビリだよ。歩く練習せんとあかんよって」と、本人がやる気を出したことに賭けることにした。
インターネットより引用
これは、女優でもあり、お笑いタレントでもある柴田理恵さんの実話である。ある日、書店にて、とある雑誌の見出しに「要介護4から要介護1」という文字が飛び込んできた時のインパクトを私は今も忘れない。
直ぐにその雑誌を手に取り購入し夢中で読んだ。私は介護福祉士として生きてきた中で、要介護4から要介護1になった人を残念な事に知らない。
要介護4とは、歩行や排せつが1人ではできない状態。日常生活ほぼ全般を介護なしで行うことが困難な状態だ。 介護レベルは2番目に高い。そこから要介護1になる…凄い! この一言に尽きる。要介護1とは排せつや食事はほとんど1人ででき、何らかの支えがあれば歩行も可能になるという事だ。
注目していただきたいのは介護なしでは日常生活を送れなかった人が、以前の生活に近い状態にまで回復したという事。これは奇跡? 必然? だとしても、どのような時間を過ごし要介護4から要介護1になるのだろう。そこには柴田さんのお母様に対するスパルタとも言える愛があったか らだ。
もともと持病のせいで頸椎が圧迫されていた上に愛犬の散歩中に転倒し、あばら骨を折り、以来、愛犬は危ないから と柴田さんが引き取る事にした。その後すぐ熱が出るように なり、腰も悪くなり寝たきりに…本人も「もう死にたい」と訴えるようになった。
そんなお母様は柴田さんと同居をすることもなく、近所の総合病院に入院する。入院中のお母様は リハビリに必死で取り組む事になる。その結果、脅威の回復をみせる。「もう死にたい」と弱気になっていたお母様の姿はそこには無かった。
なぜ? お母様の回復にはどんな魔法がかかっていたのだろう? 答えは、娘である柴田さんの鬼のリハビリ指令 にあった 。
「母は保育園とか小学校にお茶を教えに行ってたんです ね。だから『じゃあ、目標を持とう! また子ども達にお茶を教えに行くんだよ。だから元気になるんだ!』」そう言い、寝ているお母様に『 歩く練習しなさい 』『リハビリ行きなさい 』『 頑張れ、頑張れ』と鬼のエールを送っ ていたのだ。
インターネットより
介護福祉士とは身体や精神の障害により日常生活に支 障がある人の入浴、排せつ、食事など生活上必要な介護を行い、またその人やその介護者に対して介護に関する 指導を行う専門職の国家資格。単にお世話をするのではなく、介護を必要としている人が、その人らしい生活を送 り続けることができるよう様々な職種と協力しながら支援を進めていくようにする。高齢者福祉の中核を担う介護職を代表する資格として、社会的評価が高まっている。資格を持たずに介護福祉士を名乗ることはできない(名称 独占資格)とある。
介護とは家族だけで行うと、疲弊してしまう時が必ず来る。介護する側が疲れ果ててしまうのは本末転倒である。そうならない為にも介護はプロに任せ、家族は柴田さんのように愛あるエールを送る事だ。そして、『 危ないから』 という理由だけで、本人のできる事を奪わないでほしい。 本人のできる事は本人にお願いしようという気持ちで接 してほしい。
「役割」 このキーワードが生きる意欲にも繋がることを覚えていてほしい。これから介護福祉士を目指す人たち へ。国家試験に合格しリーダーとなった暁には、介護が必要な人への関わりに場当たり的な介護ではなく、その人の やりたい事を目標に決め、目標に到達できた時には介護された人も介護した人も笑顔で『やったね!』と言える介護を目指してほしい。
そして、柴田さんのお母様の今はというと、
お母様(89歳)は1人で杖をついて散歩し、友人とスーパーへ。すっかり元気になったお母様は、元通りの【自立】した生活を送っている。
インターネットより引用
介護福祉士を受験される皆様のご健闘をお祈りしております。
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