厚生労働省の調査によると、介護施設の職員などによる高齢者虐待の件数が過去最多となった。
全国の各自治体を通し、高齢者虐待の実態調査を行ったところ、介護施設の職員やホームヘルパーからの虐待が、過去最多の739件となり、前年度から24.2%増の144件、過去最多の件数となった。さらに相談・通報の件数も今までで最も多く14.0%増加の2390件となっている。
身体の虐待が半数以上 死亡は2名
「身体的虐待」を受けた人が51.5%で最も多く、「心理的虐待」が38.1%、「介護などの放棄」が23.9%となった。
虐待のあった中でも、職員の虐待による死亡は2名。また、虐待があった事業所や施設では2割にあたる146件が過去にも虐待があった。再発防止の取り組みが課題となっている。
起きる要因「知識や技術の問題」が半数以上
虐待が起きた要因として、多数回答で最も多いのが
■「教育・知識・介護技術などに関する問題」が56%、
■「職員のストレスや感情コントロールの問題」が22.9%、
■「組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制など」が21.5%
家庭内の虐待は減少 介護疲れの殺人死亡は過去最多
施設などの虐待は増えたものの、家庭内での高齢者虐待は、1万6426件の2年ぶりに減少。しかし、家族の介護疲れによる殺人や心中による死亡者は最も多い37名となった。
来年度から研修・対策会議の義務づけの方針
これらを受け、厚労省は虐待防止の対策として、積極的な相談や通報を促すとともに、施設での職員研修や対策会議を求めており、来年4月からは義務付けの方針。
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