「息切れ倒産」介護事業所 前年比8割増の143件 コロナ渦×物価高に懸念

介護ニュース

東京商工リサーチが11日に公表した2022年の介護事業者の倒産数が過去最多の143件になった。
感染症により、事業所の利用控えが増える中、物価高騰によりコスト高が追い打ちをかけた「息切れ倒産」が浮き彫りとなった。

小規模事業所には厳しい「経営の体力切れ」の現実
事業所別の内訳は、デイサービスなどの「通所・短期入所」が69件、「訪問介護」が50件となった。
介護保険制度開始から最多は2020年の118件だが、2022年は143件と大きく上回る。
全体の約9割にあたる133件が経営破綻となり、再建の見通しも立たずに自然消滅した形となった。
従業員数別にみると、10人未満の従業員数の事業所が、大半の8割強を占めている。

地域別は、最も多いのが関東地区の58件、そのうち、神奈川県は県別最多の20件、次いで近畿が25件、中部が19件、、九州が18件と続く。

一般企業と異なる報酬体系 独自で値上げできないジレンマ
一般企業であれば、コスト削減に人件費削減、販売価格の値上げなどの対策ができるが、国が報酬を決める介護業界ではそうもいかない。
暖房費の節約などは、施設利用者の健康を考えると限度がある。送迎に必要な燃料費もコスト高に直結する。
また、高齢者が利用していることで、感染症対策にも手を抜けない。毎日使う消毒液やマスク、防護服や手袋など、物価高の直撃を受けて節約よりコスト高となり、特に小さな事業所の経営を圧迫しているのが現状である。
介護保険制度の改正は、今年の夏に結論が出される見通しだが、夏までどれだけの事業所が持ちこたえるのか?現状は厳しい一途を辿っている。

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