昨年11月、政府は介護業界で働く職員らの3%賃上げを掲げたが、対象施設の4分の1の施設で制度が活用されていないことが、厚生労働省の調査で分かった。
介護職の処遇改善は、収入の3%程度の9000円を賃上げ、国から事業所に2月から9月に補助金が出る仕組みだが、補助金の対象事業者15万8000か所のうち、3万9000か所で賃上げ制度が活用されていなかった。
賃上げの補助金 申請には2重チェックの事務負担
賃上げの財源である補助金は、処遇改善以外の目的で使われることを防ぐため、計画書と実施報告書の二重チェックが行われる。守られない場合には返金を求められる。申請にかかる事務もあり、職員の少ない事業所などでは、小さくない負荷となる。
また、事務職と介護職の賃金で不平等感が生まれる心配もあり、制度の活用には消極的な事業所も少なくなかった。
昨年の10月からは、財源を介護保険料と公費で支払う「介護報酬」に切り替えられ、賃上げは継続されている。
申請の簡素化 計画書は「誓約書」のみに変更
事業者の負担となっていた事務作業を軽減するため、計画書は誓約書のみにし、実地報告で詳細を確認するなど、より制度を導入しやすいように手続きを簡素化する。2月中に通知する。
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