ヘルパーは、高齢者や障害のある方の身の回りのお世話をする仕事です。
現代の高齢化社会の日本において、ヘルパーの果たす役割は大きく、必要不可欠な職業と言えるでしょう。
ヘルパー資格の種類や取得方法などを知り、介護職を目指す方はもちろん、現在介護職である方もさらに上位の資格取得を目指して、スキルアップを考えてみませんか。
ヘルパー資格の種類と取得方法
ヘルパー資格の種類は以下の5種類あります。

生活援助従事者研修をベースに、資格を積み重ねることによって、介護職のプロフェッショナルになっていきます。下位の資格から積み上げていっても、いきなり介護福祉士の資格取得を目指してもよいでしょう。
身体介護 | 生活援助 | |
生活援助従事者研修 | × | 〇 |
介護職員初任者研修 | 〇 | 〇 |
介護職員実務者研修 | 〇 | 〇 |
介護福祉士 | 〇 | 〇 |
認定介護福祉士 | 〇 | 〇 |
詳しくみていきましょう。
生活援助従事者研修
生活援助従事者研修は、介護の担い手不足と介護の質確保のために平成30年に新たに創設されたもので、ヘルパーとして利用者さんの生活援助を行うことができます。
生活援助とは、実際に体に触れて行う「身体介護」とは違い、掃除や洗濯、調理や買い物といった家事支援がメインです。
介護職員初任者研修などの修了者は身体介護中心に、生活援助従事者研修の修了者は生活援助中心にと、介護のすみ分けを行うことで、人手不足の介護業界において担い手を増やし、「介護の質」確保を目的としています。
介護職員初任者研修(旧:ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修は介護職の入り口と位置付けられる研修で、基本的な介護業務が行えるように知識とスキルを身につけることを目的としています。
介護職員初任者研修からは「身体介護」も行えるようになるところが、「生活援助従事者研修」との大きな違いです。
「生活援助従事者研修」修了者は、介護職員初任者研修の研修課程一部免除が認められています。
介護職員初任者研修を修了すれば、在宅だけではなく、施設での介護にも従事することができるようになります。
介護職員実務者研修(旧:ホームヘルパー1級)
介護職員実務者研修は、介護福祉士資格の受験要件とされている研修です。
介護に従事した経験が3年以上ある方は、この実務者研修を修了することで、「介護福祉士」の受験資格を得ることができます。
研修時間は450時間と、かなりのボリュームがありますが、「介護職員初任者研修」「訪問介護員養成研修(1級~3級)」「介護職員基礎研修」「その他の全国研修(認知症介護実践者研修、喀痰吸引研修等)」を修了している場合は、研修課程の一部が免除されるようになっています。
例えば、「介護職員初任者研修」を修了した方であれば、130時間が免除され、320時間の受講でOKです。
実務者研修では、旧ホームヘルパー1級の時にはなかった、「医療的ケア」についての研修内容が追加されているところがポイントです。介護保険法改正により、介護職が痰の吸引や経管栄養に関するケアが可能になったためです。

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生活援助従事者研修・介護職員初任者研修・介護職員実務者研修の違い
3つの違いを分かりやすく示したのが以下の表です。
生活援助従事者研修 | 介護職員初任者研修 | 介護職員実務者研修 | |
---|---|---|---|
研修時間数 | 59時間 | 130時間 | 6か月・450時間以上 |
通信学習に代えられる時間数 | 29時間 | 40.5時間 | 規定なし |
筆記試験による修了評価 | あり (30分程度) | あり (1時間程度) | 規定なし (科目単位での修了認定が可能) |
3つとも、研修の実施主体は各都道府県または、各都道府県が指定した養成機関です。研修受講を希望する方は、各都道府県にお問い合わせください。
介護福祉士
上記の3つが認定資格だったのに対し、介護福祉士は介護職唯一の国家資格です。
介護福祉士になると、介護に関する知識と技術を持った専門職として、現場では管理や指導的立場に立つことが多くなります。
介護福祉士の資格を取得するためには以下の3つの方法があります。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
なかでも「実務経験ルート」で受験資格を得る方が圧倒的に多いです。
介護の実務経験が3年以上あり、介護職員実務者研修を修了すれば介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。実務者研修は必要ですが、働きながら介護福祉士の受験資格を得られるところはメリットが大きいでしょう。
「養成施設ルート」は履修期間が2年以上、「福祉系高校ルート」は履修期間が3年以上必要です。
認定介護福祉士
認定介護福祉士は、施設や在宅を問わず、より質の高い介護実践や介護サービスマネジメントができる介護福祉士のことです。
認定介護福祉士になるためには、まずは研修受講のための前提条件をクリアし、養成研修を受け、所定の単位数を取得する必要があります。
認定介護福祉士養成研修を受講するための前提条件は以下の4点です。
・介護福祉士であること
・介護福祉士としての経験が5年以上あること
・介護職員を対象とした現任研修を100時間以上受けていること
・研修実施団体の課すレポート課題や受講試験において一定水準の成績を収めていること
経験や知識が求められる、非常に専門的な資格です。
取得にかかる費用の目安
ヘルパー資格取得にかかる費用は、研修機関によって差があります。
生活援助従事者研修であれば、数千円~2万円弱、介護職員初任者研修で3万円~10万円、介護職員実務者研修で3万円~15万円が相場です。
介護職員初任者研修や介護職員実務者研修は、現に保有している資格や修了している研修によって研修時間数に差が出てくるため、かかる費用に差があります。
費用を安くするために、厚生労働省の教育訓練給付制度を活用してみてはいかがでしょうか。
働く方の主体的な能力開発やキャリア形成を支援するために、資格取得にかかる費用を一部助成してくれる国の制度です。
助成可能な資格の種類や研修機関について、詳しくは以下のサイトをご参照ください。
教育訓練給付制度について
ヘルパーとして働いた時の給与

介護職員に関する給与を「令和3年度介護従事者処遇状況等調査」から見ていきましょう。
介護福祉士 | 32万8,720円 |
介護職員実務者研修 | 30万7,330円 |
介護職員初任者研修 | 30万510円 |
資格なし | 27万1,260円 |
「介護事業実態調査(介護従事者処遇状況等調査)」e-Stat 政府統計の総合窓口
やはり、資格のあるなしで給与は大きく変わってきます。
資格がない場合と、介護福祉士資格を保有している場合では、約5万の開きがあり、一年間で約60万の差が出てくるのです。
さらに、資格がある場合でも、上位資格になるほど給与の高いことが分かります。
資格取得が給与に大きく影響してくるため、やはり介護職の資格取得は必須でしょう。
まとめ:ヘルパーの資格を取得し、介護のプロフェッショナルを目指しましょう

今回はヘルパー資格の種類や費用、ヘルパーの給与について解説しました。
ヘルパーは高齢者の方や障害のある方にとって、なくてはならない職業です。
介護職に一部の医療的ケアが可能になったり、認定介護福祉士の資格が創設されたりと、介護職に求められる専門性や責任は重くなっています。
介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士の資格を取得し、知識とスキルを兼ね備えた介護職のプロフェッショナルを目指しましょう。
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ヘルパーは在宅だけでなく、施設などでも働くことができますが、なかなかその職場の雰囲気などがわかりづらいですよね。
気になる職場があれば、隙間時間にお試しで働いてみるのはいかがでしょうか。まずは近くの施設で求人がないか、ぜひチェックしてみてくださいね。
投稿者プロフィール

- 看護師・保健師としての経験後、現在は高齢者のケアマネジメント業務に奮闘中。ベビーから高齢者の方まで幅広く関わっています。
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