ケアマネージャーや訪問介護事業所の方々は、利用者さんやご家族から生活援助について質問や苦情を受けることも多いのではないでしょうか。
それは、訪問介護における生活援助の範囲があいまいで、ケースによって異なる場合も多いからです。
実際私も、利用者さんに生活援助を導入する際に、悩むことが多々あります。
今回は、改めて訪問介護の生活援助についてまとめてみましたので、参考になれば幸いです。
生活援助は同居家族がいても受けられる?
同居家族がいる場合、原則、生活援助は受けることができません。
しかし、厚生労働省は「利用者に同居家族がいるというだけで一律に生活援助が利用できないわけではない」と述べ、家族が疾病・障害などのため家事を行うことが困難な場合は可能としています。
※厚生労働省記者発表資料 詳細はこちらをご参照ください。
「家族が疾病・障害のため」については自治体によって判断が分かれるところです。
家族が障害手帳を持っていることや、要介護認定を受けていることを必須としている自治体もあれば、そこまで求めておらずケースによって判断している自治体もあります。
結果、住んでいる自治体によって生活援助を受けられるかどうかに差が出てしまう場合があるのです。
同居家族がいても生活援助が受けられるかどうかは、ケースによるというのが結論です。
同居・別居の定義
「同居家族」とありますが、介護保険上、同居・別居の定義はあるのでしょうか。
定義はなく、同居とみなすかどうかの判断は自治体に任されています。
同居住民票上同一世帯であることを重視したり、生計を同一にしていることを重視したりと自治体により基準が微妙に異なるのです。
最終的には、生活実態で判断する場合が多く、台所や浴室が共用であるのか、同一敷地内にいる家族が日常生活上の世話をしているのかなど、細かく精査して同居か別居かを判断することになります。
日中独居の考え方
同居家族が日中就労等で、長時間にわたり日中不在の場合、日中独居として生活支援が受けられる場合があります。
家族が在宅している時間帯(休日や夜間)に対応すれば事足りる場合は生活支援を受けることはできませんが、いない時間帯に必要であると判断されれば受けることができるのです。
例えば、日中不在である間の昼食調理やポータブルトイレの処理などです。
家族が夜や朝に昼食を作り置きしておけばいいのでは、という意見もあるかと思いますが、家族が介護疲れで共倒れしてしまっては元も子もないので、必要な支援だと言えるでしょう。
同居家族がいる場合の生活援助の範囲は?
原則、同居家族と共有することについては生活援助はできません。
例えば、共用スペースの掃除(トイレや浴室など)や家族も使用する食材や調味料、消耗品などの買い物はできないことになっています。
しかし、個々の利用者の状況を見ながら、そのサービスを行わないことによって日常生活に支障が出るかどうかを検討した上で、必要だと判断した場合はできることもあります。
例えば、そのトイレを使用するのは主に利用者であり、掃除しないと衛生面で問題がある場合などです。
同居家族がいる場合の生活援助の範囲は、そのサービスを行わないことによって利用者さんの日常生活に支障が出るかどうかによって決まると言えるでしょう。
訪問介護における生活援助の内容は?
改めて、訪問介護における生活援助の内容について見てみましょう。
生活援助の内容は、日常生活における掃除や洗濯、食事の準備や調理などと規定されています。
- 部屋の模様替えや家具家電の移動
- 仏間の掃除や仏壇の手入れ
- 大掃除
- 庭の草むしりや花木の水やり
- 犬の散歩やペットの世話
などは日常生活の範囲外のこととされ、ヘルパーさんにしてもらうことはできません。
しかし、ケアマネージャーをしていて、ペットの世話や客間の掃除はどうしたらいいかと相談を受けることも多く、悩まされます。
それは日常生活範囲外のことです!と簡単に線引きができず、他に支援の手がないため、ケアマネージャーがペットに餌をあげるなど、ちょっとしたサポートをしてあげているケースがあるのが実情です。
介護保険サービスだけでは、細かなところまでは支援が行き届かないのが実際であり、現場は、ケアマネージャーやヘルパーさんの優しさや気遣いで成り立っているところがあります。
本来の仕事ではない部分まで、ケアマネージャーやヘルパーさんに頼ってしまっているところが社会として課題ではないでしょうか。
訪問介護における身体介護は?
生活援助としてはできませんが、身体介護としての提供が可能となるパターンもあります。
例えば、失禁でトイレの床が濡れてしまい床掃除をしなければいけない場合は、身体介護における排泄介助の一環として掃除支援をすることができます。
また、利用者さんの自立やADL向上の目的で、一緒に食事を作ったり一緒に洗濯物を干したり畳んだりするのは、身体介護として提供可能になります。
訪問介護における身体介護は、入浴介助やおむつ交換などの直接身体に触れるサービスだけでなく、利用者さんの日常生活における自立を手助けする支援も含まれるのです。
まとめ
訪問介護における生活援助は、同居家族がいても一概にNGというわけではありません。
ケアマネージャーが利用者さんの状況をしっかりとアセスメントした上で、ケアプランを作成し、サービス担当者会議で話し合い、必要性を明らかにすればサービス提供が可能となります。
各自治体(保険者)の基準や判断にゆだねられるところも大きいですが、家族がいるからすぐNGでなく、きちんとアセスメントすることが大切です。
最後に
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投稿者プロフィール
- 看護師・保健師としての経験後、現在は高齢者のケアマネジメント業務に奮闘中。ベビーから高齢者の方まで幅広く関わっています。
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