サービス提供責任者と管理者の違いとは?役割や資格要件を簡潔にご紹介!

訪問介護

訪問介護の事業所には、「サービス提供責任者」「管理者」と呼ばれる2つの職種があります。
異なる役割を担ったサービス提供責任者と管理者ですが、両者の具体的な役割の差をご存知ですか?
今回は、サービス提供責任者と管理者の役割や資格要件の違いをご紹介します。
ご自身のキャリアの方向性を考えるきっかけにしてくださいね。

サービス提供責任者と管理者

訪問介護事業所には、実際にサービスを提供するホームヘルパーとは別に、「サービス提供責任者」「管理者」と呼ばれる人たちがいます。
どちらもサービスに対する責任者であるというイメージからか、混同されやすい職種です。

今回は、サービス提供責任者と管理者の違いをご紹介します。

サービス提供責任者とは

まず、サービス提供責任者から見ていきましょう。

サービス提供責任者は、「サ責(させき)」と略して呼ばれることが多い職種です。
家族やケアマネージャーなどの関係者との連携や、ホームヘルパーの調整・育成を担っています。
より良いサービスを提供するために、訪問介護サービスの全体を調整・管理する人と言えるでしょう。

1.サービス提供責任者の仕事内容

次に、サービス提供責任者の具体的な仕事内容を確認しましょう。
サービス提供責任者の仕事は、大きく分けて以下の5つです。

①利用者の受け入れ調整や、利用者・ご家族への連絡・相談の窓口

高齢者が訪問介護サービスの利用を希望される際、窓口となって調整を行うのがサービス提供責任者のお仕事です。
本人の既往歴や必要なケア、ホームヘルパーの人数などを総合的に考慮して、受け入れ可否を検討します。

また、実際にサービス提供を開始した後は、利用者やそのご家族との連絡・相談役を務めます。

②ケアマネージャーやその他専門職との連携

介護サービスは、多職種連携が基本になります。
利用者を担当するケアマネージャーをはじめ、利用者が利用するサービス提供事業所との密な連携が必要です。

サービス提供責任者は、「サービス担当者会議」に出席するなどして、日々関係する専門職との連携を図ります。

③訪問介護計画書などのサービス計画の作成

訪問介護サービスの提供を始める前に、「訪問介護計画書」を作成します。

ケアマネージャーから受領するケアプランをもとに、具体的に提供するサービス内容や目標を設定します。
この計画書に基づき、ホームヘルパーが実際にサービスを提供することになるのです。

④ホームヘルパーの調整

訪問するヘルパーの調整を行うのも、サービス提供責任者の仕事の1つです。

利用者のニーズに合ったサービス提供ができるヘルパーを見極めつつ、ヘルパー自身の希望も考慮しながら調整します。
利用者とヘルパー双方を理解した上での調整が求められます。

⑤ホームヘルパーの育成・指導

ホームヘルパーの育成や指導も、サービス提供責任者の大事なお仕事です。

新しい利用者宅の訪問時や新人ホームヘルパーの訪問時、サービス提供責任者が同行してレクチャーします。
訪問介護計画書に沿った適切なサービスが提供されるよう、スタッフの指導を担っています。

2.サービス提供責任者になるには

続いて、サービス提供責任者になるために必要な資格などを確認します。
サービス提供責任者になるには、以下いずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 介護福祉士の資格を保有している
  2. 実務者研修を修了している
  3. (旧)ホームヘルパー1級の資格を保有している

3のホームヘルパー1級資格は、現在すでに廃止されています。
これからサービス提供責任者を目指す人は、介護福祉士資格を取得するか、実務者研修を修了するようにしましょう。

管理者とは

次に、管理者についてご紹介します。

管理者は、訪問介護事業所の経営・運営全般の責任者です。
いわゆる「ヒト・モノ(サービス)・カネ」の管理をする人と理解するとわかりやすいでしょう。

1.管理者の仕事内容

管理者の仕事は、介護サービス面だけでなく、事業所全体のマネジメントをする役割を担います。
介護サービスのみならず、事業の運営にも関心のある人にはぴったりのお仕事といえます。

実際の仕事内容を、5つに分けてご紹介します。

①スタッフのマネジメント全般

ホームヘルパーやサービス提供責任者など、訪問介護事業所のスタッフ全体のマネジメントを行います。
必要な人員基準を満たすための採用活動や、スタッフの勤怠管理、育成や評価も管理者の仕事と言えます。

②提供するサービスの品質管理

ホームヘルパー全体の技術向上や、スタッフ間の品質の差をなくすための教育を行います。
管理者は、サービス提供責任者と協力しながら、訪問介護事業所が提供するサービス全体の品質を管理します。

③事業所の収支管理

施設運営の基本として、収入や支出などのお金の管理を行います。
現状の売上・利益の管理だけでなく、将来的に事業所が存続し続けるための施策全般を管理者が担います。

④コンプライアンスの徹底

介護保険サービスを提供する上で、介護保険法の順守は絶対です。
くわえて労働基準法や消防法など、事業所を運営する上で必須の法令を遵守するための取り組みが、管理者の重要な仕事の1つです。

⑤その他事業所の管理業務全般

ここまでにご紹介した以外にも、介護事業所を運営する上で必要な管理業務はすべて管理者の仕事と言えます。
施設や設備の管理、会社方針の事業所への浸透など、幅広い対応が管理者に求められます。

2.管理者になるには

次に、管理者になるための資格要件を確認しましょう。

管理者は、サービス提供責任者とは違い、保有資格等の要件がありません
つまり、誰でも管理者になることができるのです。

一方で、管理者は事業所の運営管理を任される責任者として、強い責任感が求められるお仕事です。
介護保険法や介護サービスの理解はもちろんのこと、組織をマネジメントする知識や経験、リーダーシップが求められると言えます。

サービス提供責任者と管理者は兼務できる?

最後に、サービス提供責任者と管理者の兼務についてご紹介します。

違う役割を持つサービス提供責任者と管理者ですが、兼務することができます
ひとりで2つの役割を担うということは、当然責任や業務量が増えることになります。
周囲から適切なサポートが得られる体制が必要と言えるでしょう。

なお、兼務などの配置要件に関しては都道府県によって基準が異なる場合があるため、保険者に確認することをオススメします。

まとめ

今回は、訪問介護事業所におけるサービス提供責任者と管理者の違いについてご紹介しました。

  • サービス提供責任者は、利用者や家族、他のサービス提供事業者や自社のホームヘルパーの調整役
  • 管理者は、施設運営全体の責任者

上記のようにご理解いただくと良いでしょう。
訪問介護事業所でのキャリアアップを目指す方は、サービス提供責任者や管理者を目指すのもひとつの選択肢です。
自分の強みややりたいことを考慮して、検討してくださいね。

投稿者プロフィール

古賀 清香
古賀 清香
神奈川県在住。Webライター。新卒で福祉企業に入社。ショートステイ、デイサービスで勤務したのち、デイ管理者や新規施設の立ち上げを担当。介護福祉士。2児のわんぱく男子を育てるフリーランスワーママ。

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