【介護現場】ご利用者が亡くなった時ご家族にかける言葉やマナー

訪問介護

介護の仕事をしていれば、ご利用者の訃報の知らせを聞く機会が多くあります。

入院先での訃報を聞く場合や、介護施設でのお看取り対応で亡くなられる瞬間に立ち会うこともあるでしょう。

このようなご利用者の訃報を聞いた場合、ご遺族に何と言葉をかけたら良いのか戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。

今まで関わらせていただいたご利用者が亡くなられたショック・哀しさ・驚きなどさまざまな感情でなかなか言葉にならないことも。

この記事ではご利用者が亡くなった時にかける言葉について解説します。お悔やみの言葉で気をつけたいマナーも解説しますのでぜひ参考にしてください。

【介護現場】ご利用者が亡くなった時にかける言葉

ご利用者がなくなったと分かる瞬間に多いのは、施設などの看取りでその場に居合わせているケースと、入院をされていてご家族から亡くなったことを知らされるケースがあります。

1.亡くなった直後にかける言葉

亡くなった直後は、ご家族も職員もまだ気持ちが整理できていません。

自らも気持ちが整理できない中で、ご家族に何か声をかけなければと焦ってしまうかもしれません。しかし、亡くなった直後であれば、あれこれ形式ばった事を言おうとせず言葉にならなくても良いのではないでしょうか。

亡くなった直後はお辞儀をして退出し、ご家族が故人と一緒に過ごすことができるよう配慮することが大切です。

施設で看取りをした場合、利用者様の清拭・着替え・化粧などのエンゼルケアを行います。エンゼルケアはご家族に手伝ってもらうことも可能です。希望があれば、体を拭いていただいたり、化粧をしてもらったり簡単にできることを一緒に行ってもらいましょう。

少し気持ちが落ち着いてきた頃に、エンゼルケアを一緒に行いながらご利用者様との思い出話などをして故人を偲ぶのも一つです。

2.入院中の方が亡くなったと聞いた場合

ご利用者が入院されていた場合、ご家族から電話などで訃報の連絡があるケースも多いかと思います。

その際にかける言葉としては「この度はご愁傷様でございます」「心からお悔やみ申し上げます」などがあります。また、大変な時にご連絡いただいたことに対してお礼を述べましょう。

次に、お通夜と葬儀・告別式の日時と場所が決まったら教えてもらうようにお願いします。お通夜や葬儀に参加するかしないかは施設により異なります。弔電のみ送る場合など、対応はさまざまです。施設の方針に従って対応しましょう。

最後に、施設を解約するにあたって必要な手続きをお願いしなければなりません。これは、大変な時期にお願いするのには気が引けてしまうことです。落ち着いてからで良いので後日連絡いただけるようにお願いすると良いでしょう。

一般的なお悔やみの言葉

お悔やみの言葉とは、故人の死を悼む気持ちを表すために遺族にかける言葉です。急な訃報を聞いた場合どのように言葉をかけたら良いか悩んでしまうため、一般的な言葉を知っておきましょう。

「ご愁傷様です」

ご愁傷様です」とは、心の傷を憂い相手を気の毒に思うことを意味する敬語表現で「愁」は憂い「傷」は痛みを意味しています。

お通夜や葬儀でよく使われる言葉ですが、通夜や葬儀以外でも使えます。施設内でご家族からご利用者の訃報を聞いた場合などに使っても問題ありません。

この度はご愁傷様です」さらに丁寧には「この度はご愁傷様でございます」とお伝えします。

「お悔やみ申し上げます」

お悔やみ申し上げます」は、故人の死を悲しみ、弔いの言葉をお伝えするという意味です。「この度は心よりお悔やみ申し上げますとお伝えします。

「お悔やみ申し上げます」は通夜・葬儀など故人が亡くなった直後に使う言葉です。「ご愁傷様です」と一緒に使用しても良いでしょう。

「残念でなりません」

残念でなりません」はその言葉通り「心残りである」という意味です。故人の死が非常に悔しく心残りであるという気持ちが伝えられる言葉です。

単体で使うというよりは「ご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」などの他のお悔やみの言葉とあわせて使います。

お悔やみの言葉で注意したいこと

お悔やみの言葉は普段の生活では使う機会も少ないため知らないマナーが多いものです。

高齢者のお世話をする介護職であればご利用者の看取りや訃報を聞く機会も多いため、ふさわしくない言葉や使ってはいけない言葉などのマナーは頭に入れておきましょう。

「ご冥福をお祈りします」は宗派により使えない

ご冥福をお祈りします」という言葉をよく耳にしますが「ご冥福」は仏式にのみ使用でき、キリスト教・浄土真宗などにはそぐわないため注意が必要です。

「ご冥福をお祈りします」は「死後の世界での幸せを祈っています」という気持ちを表し、キリスト教・浄土真宗などの考え方と異なります。

また「ご冥福をお祈りします」は遺族に向けて使用する言葉ではなく、故人に対して使用する言葉です。使用する際は「故人様の」ご冥福をお祈りしますという言葉を伝えなければなりません。

故人や遺族の宗教などは分からないことの方が多いため「ご冥福をお祈りいたします」は使用を控えておいたほうが良いでしょう。


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不幸や死を連想させる言葉はNG

不幸や死を連想させる言葉は「忌み言葉」と言い、縁起が悪いとされています。

忌み言葉には「苦しい」「辛い」「大変」「消える」「散る」「去る」「切る」などがあります。

故人が亡くなった時にご遺族へかける言葉としてふさわしくないため注意が必要です。

繰り返しを表現する言葉や重ね言葉はNG

繰り返しを表現する言葉は、悪いことが積み重なったり繰り返したりするイメージがあるため使用を避けます。

  • 繰り返し言葉
    これからも・この先も・追って・続いて・再三・引き続き
  • 重ね言葉
    重ね重ね・いろいろ・たびたび・くれぐれも・次々・いよいよ

これらの言葉は普段の生活でもよく使う言葉なので意識しておきましょう。

生死を表現する直接的な言は言い換える

生死を直接的に表現する言葉は避け、言い換えるようにします。

  • 死亡・死去→ご逝去・永眠
  • 生きているころ→ご生前・お元気だったころ
  • 急死→突然のこと・急逝

直接的な表現はご遺族を不快な思いをさせてしまいます。ご遺族を傷つけないように注意を払いましょう。

励ましの言葉は避ける

「頑張って」「元気を出して」などの励ましの言葉にも注意が必要です。

ご遺族を励ましたいという気持ちは理解できますが、お悔やみの言葉として使用するのはふさわしくありません。なかなか立ち直れずに苦しんでいる時に負担に感じる場合もあるので、避けた方が無難です。

「大往生」などの言葉は遺族以外が使わない

高齢の方が亡くなった時によく使われる「大往生」という言葉は家族以外が使わないようにしましょう。

「大往生」は仏教用語が由来とされており「天寿をまっとうして安らかに亡くなること」を意味します。

高齢で病気やケガではなく自然に旅立たれたのであれば「大往生」という言葉を使ってしまいそうになります。しかし「大往生だった」「天寿を全うした」などは家族が言っても良いですが他の人がいうのは失礼にあたります。

何歳まで生きていたら大往生であるかの基準は人それぞれです。いくら高齢で亡くなったとしても、悔しい思いをしているご家族や、もっと長く生きて欲しかったと思っているご家族もいます。「もう十分長生きしたから良かった」と捉えられないように注意しましょう。

ご家族の気持ちに寄り添った対応を

この記事では、ご利用者が亡くなった時ご家族にかける言葉やマナーを解説しました。

死に直面しているつらいお気持ちのご家族に、何と言葉をかけたら良いのか戸惑ってしまいます。

普段何気なく使っている言葉がマナー違反になってしまうケースもあり、ご遺族の気持ちを配慮しながら伝えなければならないので言葉選びは難しいものです。

この記事を参考に最低限のマナーを頭に入れておき、ご家族の気持ちに寄り添った対応をできるようにしましょう。

投稿者プロフィール

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。

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