11月01日、ヘルパーの女性が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が、東京地裁で行われた。
「ヘルパーへの低賃金や劣悪な労働環境は、介護保険制度にある、労働基準法違反を国は放置した」という原告側の訴えを棄却、原告側は控訴する方針。原告はヘルパーの女性3名。
訪問介護の現場では、非正規登録のペルパーが大半を占める中、賃金の支払いはサービスの提供時間しか支払われない。利用者の自宅への移動時間や待機時間はほぼ無給、当日の利用キャンセルによる休業手当も出ない。
これらの現状を東京都品川区の藤原るかさん(66)ら3名は、労働基準法違反を放置し、規制する権限を行使しなかったとして国側を提訴、原告1名に未払い賃金を含む330万円を支払うよう求めた。
これに対し高木勝己裁判長は「労働条件の是正は事業者がすべき」とし、国側の主張を追認、原告側の請求を棄却した。原告側の「介護報酬は、移動時間、待機時間の賃金まで支払える程ではない」との主張に対し、判決では厚生労働大臣がどんな規制権限を行使すべきか、具体的な主張がないとの理由から退けた。
憤り収まらず「ケア労働の正当な評価を」
判決に対し、原告の藤原るかさんは「ヘルパーを30年続けてきたが年金保険料も払えない」と、低賃金による苦悩を露わにした。佐藤昌子さん(67)は「出来高払い」が問題と指摘、指定時間にケアが終わらず、超過した分は無報酬とも説明し、「ケア労働が正当に評価されれば、やりがいも取り戻せる」と言う。
伊藤みどりさん(70)は「国側は、移動や待機時間は介護報酬に含まれているとするが、何時間含まれているかは言わない」と厚労省を批判。「出来高制のため、キャンセル時の休業補償がないなど、ヘルパーの労働問題が認識されてきた」と話した。
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