ケアマネの離職率は?ケアマネを含む介護職の現状や今後について知ろう!

居宅介護

ケアマネの離職率は平成22年の数値で19.7%、他介護職(訪問介護員、介護職員)の離職率は17.8%です。

他産業の職種と比較して高値であった介護職の離職率ですが、この10年間で徐々に低下してきており、現在は14.9%まで改善しています。

ケアマネを含む介護職の離職率が低下してきたのはなぜでしょう。

介護人材不足が深刻化したことに対し、国が介護職の処遇改善に乗り出したからです。

今回は、離職率を含む、ケアマネや介護職全体の現状についてお話します。

さらに、介護現場の今後や、ケアマネに求められる力についても述べていますので、参考にしていただければ幸いです。

ケアマネを含む介護職の現状は?

ケアマネや他の介護職が置かれている状況について、介護労働安定センターが毎年行っている「介護労働実態調査」の結果から見ていきましょう。

参照URL:http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf

ケアマネや他の介護職の離職率は改善傾向

全産業離職率に比べ、高く推移していた介護職の離職率ですが、近年は全産業離職率とほぼ同レベルまで低下してきています。(令和2年 介護職種:14.9% 全産業:14.2%)

さらに、介護職の離職率はピーク時21.6%あったところから、約3分の2まで改善しているのです。

継続して働き続けたい介護職が6割以上

「ケアマネ」、「訪問介護員」、「サービス提供責任者」、「介護職員」の4職種すべてにおいて、6割以上が「現在の勤務先で働き続けたい」と回答し、5年連続して前年を上回る結果となっています。

介護の現場は、仕事がキツイなどの理由ですぐに辞めていく職員が多いイメージですが、定着率が高くなってきていると言えます。

介護職員処遇改善加算を算定した事業所が8割以上

介護職員処遇改善加算とは、キャリアアップの仕組みを作ったり、労働環境を改善する取り組みを行ったりした事業所に対し、介護報酬という形で給料の上乗せ加算が支給されるものです。

自治体から事業所へ支給された加算報酬は、賃金として介護職員へ還元されるようになっており、結果、介護職員の賃金が上がるのです。

8割以上の事業所が介護職員処遇改善加算を算定している結果から、介護職員の平均給与額のアップにつながっていることが分かります。

ケアマネの平均年収額は微増

ケアマネの令和2年の平均年収額は3,912,746円でした。

前年度の平均年収額(3,883,968円)と比べると微増していますが、製造業や金融業など、他の産業と比較するとまだまだ低いのが現状です。

ケアマネを含む介護職の労働上の悩み

最も多いのが「人手が足りない」という悩みです。

約半数以上が「人手が足りない」と感じており、次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」と感じている人が多いという調査結果が出ています。

介護職種の離職率が改善し、継続して働きたい人が増えてはいても、まだま介護の現場は人手不足に悩まされているということですね。

事業所へ「人手不足感」を調査した結果でも経年的に変化なく、6割を超える事業所が「不足感」を感じていることから、さらに介護人材の確保に向けて国や社会は考えていく必要があるといえます。

ケアマネを含む介護職の今後は?

ケアマネを含む介護職の現状について述べてきましたが、介護現場は今後どうなっていくのでしょう。

約20年後に必要とされる医療、福祉、介護分野に携わる労働者の数は約1,070万人。

しかし、その時点で確保が見込まれる数は約974万人と予測されています。

高齢者の数に比べて生産年齢人口は減少し、高齢者を支える側の数が圧倒的に足りなくなるのです。

そのような中で、介護人材の確保や職場環境改善のために、以下の対策が考えられます。

外国籍や高年齢労働者の介護分野での活用

現在、介護現場で外国籍の労働者を受け入れている事業所は8.6%です。

「職場に活気が出る」、「利用者が喜んでいる」など、受け入れている事業所の評価は高いにも関わらず、受け入れていない事業所の不安感は高く、充分に活用されていません。

研修制度などを充実させ、外国籍労働者を受け入れる事業所を増やしていくことが今後の課題です。

60歳以上の介護人材は、年々増加傾向にあります。

知識や経験を活かし働き続けることは労働者側にも、事業所側にもメリットがあります。

介護の現場では、「勤続3年未満」の離職者が全体の6割を占めています。そうした、新たに介護分野に入ってきた若い人を指導する立場としても、再雇用等で高齢労働者を活用することは重要です。

職場環境の改善

介護現場を働きやすい環境にするためには、「相談窓口」の設置が欠かせません。

ケアマネを含む介護職の職場での悩みや不満を尋ねた調査でも、「精神的にきつい」など全ての質問項目において相談窓口のない事業所で働く職員の方が、ポイントが高いという結果が出ました。

さらに、相談窓口のある事業所では、「悩み、不安、不満は感じていない」と答えた割合が、相談窓口のない事業所よりも上回っていたのです。

介護職の離職率改善には、現場の声を聞こうとする事業所側の姿勢が大きく影響します。

介護現場におけるICT利用促進

国は介護現場における効率化を図るため、ICT利用を進めています。

介護記録や行政に提出する書類などを紙媒体からコンピューターで管理することで、作成に係る時間が短縮され、職員間や関係機関との連携がスムーズになるなどのメリットがあるためです。

事業所へのICT活用状況の調査では、「活用していない」と回答した事業所は 全体の22.0%(令和3年)であり、7割以上が程度の差はあれ、ICTを活用している結果となっています。

ケアマネを含めた介護職には、そうした新しい風を受け入れ、効率的に仕事をこなすことが求められています。

ICT活用によって、介護現場での事務効率がアップすることによってケアマネ業務も変わっていくのではないでしょうか。

介護保険請求事務など膨大な事務作業が効率化されることで、ケアマネの本来の仕事である、「利用者や家族に寄り添ってケアマネジメントする」ことに時間を割くことができるようになると期待します。

ケアマネのケアマネジメント業務に求められる力は?

ケアマネの本来の仕事は「介護ケアマネジメント」です。

では、ケアマネジメントをする上で求められる力とはなんでしょう。

共感力

ケアマネとって共感力は最も求められるところです。

ケアマネは、利用者とサービス提供事業者を結ぶ橋渡し的存在

利用者のニーズを把握し、必要なサービスに結び付けるためには、利用者や家族と密にコミュニケーションをとらなければなりません。

そして、まずは利用者や家族の思いを受け止め、共感し、信頼関係を築くことから始まります。

利用者や家族の思いに寄り添いながら、必要なサービスへとつなぐことがケアマネの仕事です。

分析力

ケアマネにとって分析力も重要です。

単に利用者や家族の要望だけを聞いてサービスを組み立てるだけでは不十分で、利用者の既往歴や現病歴、家族背景からどんな支援が必要かを探る必要があります。

例えば、パーキンソン病の利用者さんの場合を考えてみましょう。

パーキンソン病の利用者さんへの支援として、訪問リハビリテーションを計画に入れるなら、リハビリに特化した事業所ではなく、訪問看護ステーションへリハビリ職の派遣を依頼する方が好ましいでしょう。

これは、進行性難病であることを理由に、後々訪問看護の利用も視野に入れてサービスを組み立てる必要があるからです。

歩行が不安定な場合は杖や歩行器の利用を提案したり、脳梗塞後遺症がある場合は言語リハビリを提案したり、ケアマネにはエビデンスをもって必要なサービスを提案する分析力が求められるのです。

まとめ

今回は、ケアマネを含む介護職の現状や今後についてお話しました。

高齢者を支える介護職はなくてはならない存在であり、その中でもケアマネジメントの中心となるケアマネは必要不可欠な存在です。

介護職の処遇が改善され、働きやすい環境になってきたといえ、他産業分野の職種との年収の差や介護現場の人手不足感は残っているのが現状です。

ケアマネを含む介護職の方々は、自身の置かれている現状を理解し、さらに処遇が改善されていくように声を挙げていきましょう。

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