訪問看護における医療保険と介護保険の違いと特別訪問看護指示書について解説

訪問看護

診療所や訪問看護ステーションから看護師等が訪問して、療養の世話や診療の補助を行う訪問看護。訪問看護には、医療保険または介護保険が適用されます。

どちらの保険が適用されるか、ケアマネジャーや訪問看護事業所の方々は知っておく必要がありますよね。

訪問看護における医療保険と介護保険の違い、優先度について抑えておきましょう。

この記事では訪問看護における医療保険と介護保険の違いについて、また、特別訪問看護指示書について詳しくまとめています。

訪問看護における医療保険と介護保険の違いは?

訪問看護における医療保険と介護保険には以下の違いがあります。

医療保険介護保険
対象者小児等40歳未満の方
要介護認定を受けていない方
(要支援・要介護以外)
要介護認定を受けている方
①65歳以上(第1号被保険者)で要支援・要介護と認定された方
②40歳から64歳の方(第2号被保険者)のうち、特定疾病に該当し、要支援・要介護と認定された方
支給限度額なしあり
※介護度別に支給限度額が決められている
訪問回数週3回まで
1日1回まで
※例外あり
限度額内であれば制限なし
訪問時間30分~90分①20分
②30分
③30分以上60分未満
④60分以上90分未満
自己負担1~3割1~3割
利用の手順主治医や病院の相談員と相談
⇒訪問看護事業所決定
⇒利用開始
地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談
⇒ケアマネがケアプランを作成
⇒サービス担当者会議実施
⇒利用開始

介護保険の対象者となる②の特定疾病とは、国が定める以下の16疾患のことです。

  • ガン末期
  • 関節リュウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 初老期における認知症
  • パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

以上の疾患に該当する方は、65歳未満であっても要介護認定を受ければ、介護保険による訪問看護を受けることができます

訪問看護における医療保険と介護保険はどちらが優先か?

基本的には、医療保険よりも介護保険優先です。

そのため、要介護認定を受けている方は、介護保険による訪問看護を受けることになります

しかし、要介護認定を受けている方であっても、

  • 主治医から「特別訪問看護指示書」が出されている場合
  • 主治医から「精神科訪問看護指示書」が出されている場合
  • 厚生労働省が定める別表7疾病に該当する場合

以上の場合は、医療保険が適応され、週4回以上、一日複数回の訪問が可能になります

特別訪問看護指示書とは?

「特別訪問看護指示書」とは、主治医が「訪問看護指示書」とは別に、急性増悪などで週4日以上の頻回訪問が必要であると判断した場合に出すものです。

特別訪問看護指示書がない場合、医療保険による訪問看護は週3回までと決められています。

特別訪問看護指示書の交付要件は?

特別訪問看護指示書の交付要件は、以下の3つです。

  • 急性感染症等の急性増悪時
  • 末期の悪性腫瘍以外の終末期
  • 退院直後で頻回訪問が必要な時

「特別訪問看護指示書」の交付は、一人につき月1回までですが、以下に該当する場合は例外的に月2回まで交付することができます

  • 気管カニューレを挿入している場合
  • 真皮を超える褥瘡がある場合

「特別訪問看護指示書」の有効期間は14日間のため、交付日から14日間は毎日訪問看護を受けることができるのです。

厚生労働省が定める別表7疾病とは?

厚生労働省が定める別表7疾病は、全部で20疾病あります。

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー病
  • パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(HY3以上、生活機能障害度Ⅱ以上))
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎皮質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頚髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

上記に該当する場合は、介護保険ではなく、医療保険による訪問看護になります。

特定疾病(16疾病)と厚生労働省が定める別表7疾病は、似ているようで意味合いは全く異なるので注意が必要ですね。

介護保険による訪問看護を受けるメリットは?

支給限度額内にはなりますが、訪問回数に制限がないことがメリットです。

自己負担割合についても、医療保険は2割負担だけど、介護保険は1割負担という方が多々見受けられます。

介護保険よりも医療保険の方が、負担割合の基準が厳しいためです。

介護保険では多くの方が1割負担であるため、訪問看護を受けた時の自己負担が軽くすむこともメリットですね。

さらに、40歳から64歳の方(第2号被保険者)のうち、特定疾病に該当し、要支援・要介護と認定された方は、介護保険では所得に関わらず1割負担となります。

私が関わっていた方の中にも、若い年齢でいきなり介護が必要になった方がおられました。

所得からすると3割負担ですが、50代であったため1割負担ですみました。

お子さんもまだお金がかかる年齢にも関わらず、急に働くことができなくなったことを思うと、2号被保険者の方の負担割合が1割と設定されていることは、しっかりと配慮されている部分だと思います。

医療保険の場合でも、介護保険の場合でも高額になった時は軽減制度を使おう!

同じ月に利用したサービスの自己負担額が定められた限度額を超えた時は、後から返ってくる制度があります。

所得額によって限度額が定められており、医療保険でも、介護保険でも限度額を超えた分は返ってきます

利用者の方やご家族から費用面の相談があった時は、医療保険であれば協会けんぽや自治体窓口、介護保険であれば自治体窓口を案内してあげましょう。

まとめ

今回は、訪問看護における医療保険と介護保険の違いや、要介護認定を受けている方でも医療保険が適応される場合についてお話ししました。

医療保険よりも介護保険が優先されるにも関わらず、医療保険が適応される場合は以下の通りです。

  • 「特別訪問看護指示書」がある場合
  • 「精神科訪問看護指示書」がある場合
  • 厚生労働省が定める別表7疾病に該当する場合

状況に応じ、訪問看護の途中で適応される保険が切り替わる場合もありますので、しっかり抑えておきましょう。

ケアマネージャーや訪問看護事業所の方々の参考になれば幸いです。

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