訪問看護における緊急時加算とは?介護保険と医療保険それぞれの場合について解説

訪問看護

訪問看護における緊急時加算は介護保険と医療保険の両方に創設されている加算です。
介護保険では、24時間対応可能な体制を整えている場合に「緊急時訪問看護加算」を算定することができます。

医療保険では、体制確保に対し「24時間対応体制加算」が、それとは別に緊急時に訪問した際に「緊急訪問看護加算」があります。

訪問看護は介護保険または医療保険のどちらかが適応され、それぞれにおいて算定できる加算があるため、頭の中を整理しておきましょう。

訪問看護における緊急時加算とは?介護保険の場合

介護保険における緊急時訪問看護加算は、訪問看護において、利用者または家族から看護に関する意見を求められた時に常時対応でき、また、緊急時に24時間訪問できる体制を取っている場合に算定できる加算のことです。

算定要件

介護保険において緊急時訪問看護加算を算定するためには、以下の要件を満たしていることが必須です。

  • 利用者やその家族等に緊急時訪問看護加算の算定について書面で説明し、同意を得ていること
  • 計画的に訪問すること以外の、緊急時訪問に対応できる体制であること
  • 各都道府県に届出をして受理されていること
  • 利用者やその家族等から、電話などにより相談や看護ケアに関する意見を求められた場合、24時間対応できること

単位数

指定訪問看護ステーション574単位/月
みなし指定訪問看護ステーション315単位/月
※「みなし指定」とは、病院や診療所のことを指します。

介護保険による訪問看護を行うためには、各都道府県に届出を行い、許可(指定)を受ける必要があります。

しかし、すでに病院や診療所として登録されているものは許可(指定)を受けたものとみなされるため、「みなし指定」と呼ぶのです。

緊急時訪問看護加算を算定する場合の留意点

厚生労働省のQ&Aを参考に留意点をまとめてみました。

緊急時訪問看護加算に係る連絡相談を担当する者は、原則として、訪問看護ステーションの保健師または看護師とされています。
そのため、理学療法士等の他職種は算定対象外です。
しかし、「指定訪問看護ステーションからの訪問ではなく、病院または診療所の場合に限り、医師が対応しても良い。」とされています。

当該月において利用者に一度も計画的な訪問看護の提供がない時点で緊急時訪問を実施し、その直後に利用者が入院したような場合に緊急時訪問看護加算は算定できるのでしょうか。
答えは算定可能です。
緊急時訪問看護加算は、当該月の第1回目の介護保険の給付対象となる訪問看護を行った日に加算されるものであるため、第1回目の訪問が訪問看護計画に位置付けられていない緊急時訪問である場合も加算できます

複数訪問看護事業所からの訪問看護提供の場合

一人の利用者に対し、複数の事業所が訪問看護に入っている場合、緊急時訪問看護加算は1事業所のみ算定可能となります。
緊急時訪問看護加算については、その性質上、複数の事業所によって加算の対象となる緊急時訪問看護が行われることは考えにくいからです。

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訪問看護における緊急時加算とは?医療保険の場合

医療保険の場合、24時間対応できる体制を整えている場合に算定できる「24時間対応体制加算」と、緊急時に訪問した際に算定できる「緊急訪問看護加算」の2つがあります。

24時間対応体制加算とは?

24時間対応体制加算とは、必要時の緊急時訪問看護に加えて営業時間外における利用者や家族等の電話連絡および利用者または家族等への指導による日々の状況の適切な管理と対応やその体制を整備することで算定できる加算のことです。

内容としては介護保険の緊急時訪問看護加算と同じです。

算定要件

  • 24時間対応体制に係る届け出を地方厚生(支)局へ提出すること
  • 算定の際に利用者の同意を得ていること、また、訪問看護ステーションの名称、所在地、電話番号、緊急時の連絡先を記載した文書を渡すこと

加算額

6,400円/月

24時間対応体制加算は一人の利用者に対して1事業所のみの算定となるため、2か所以上の訪問看護事業所が訪問に入っていたとしても1事業所以外は算定することができません。

緊急訪問看護加算とは?

緊急訪問看護加算とは、訪問看護ステーションが主治医の指示を受けて、計画的な訪問以外の訪問看護を行った場合に1日につき1回、算定できる加算のことです。

算定要件

  • 利用者やその家族等に緊急訪問看護加算の算定について書面で説明し、同意を得ていること
  • 病院や診療所が、往診や指定訪問看護により24時間対応できる体制が整っていること
  • 主治医から指示を受けて行う計画的ではない訪問であること
  • 継続診療加算を算定している利用者の主治医が対応できない夜間等、連携先の意思から指示を受けて行う緊急訪問であること
  • 主治医が病院や診療所の保険医であること
  • 24時間連絡ができる担当者名や連絡先等、緊急時の注意事項、往診担当医、訪問看護の担当者名等を、利用者に文書で確実に提供されていること

加算額

2,650円/1日

同日に他の訪問看護事業所が訪問に入っていた場合、訪問看護基本療養費の算定はできず、緊急訪問看護加算のみの算定になります。

訪問看護における「早朝・夜間訪問看護加算」「深夜訪問看護加算」とは?

緊急訪問加算を算定する上で、注意すべき点が「早朝・夜間訪問看護加算」や「深夜訪問看護加算」との関係です。

介護保険の場合、午後6時~翌午前8時までの時間帯に指定訪問看護サービスを提供することで加算を算定することができます。

夜間・早朝の場合:所定単位数の25%

深夜の場合:所定単位数の50%

※所定単位数とは、要介護度別に設定されている単位数のことです。

原則、緊急時訪問看護加算を算定している場合、夜間・早朝、深夜の加算は算定できません。しかし、当該月の2回目以降の緊急訪問が夜間・早朝、深夜の時間帯の場合は、夜間、深夜、早朝の加算を算定することができます

医療保険の場合も、介護保険同様の加算があります。

夜間・早朝の場合:2,100円/回

深夜の場合:4,200円/回

緊急訪問看護加算を算定していても、早朝・夜間訪問看護加算、深夜訪問看護加算を算定できる点に注意が必要です。

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まとめ:訪問看護における緊急時加算を介護保険と医療保険で整理しておきましょう!

今回は、訪問看護における緊急時加算について解説しました。

まとめると以下の通りです。

  • 介護保険では、24時間体制確保に対し「緊急時訪問看護加算」がある
  • 医療保険では、24時間体制確保に対し「24時間対応体制加算」が、緊急時の訪問に対し「緊急訪問看護加算」がある
  • 介護保険も医療保険も、緊急時加算は1訪問看護事業所しか算定できない
  • 緊急対応は、原則保健師や看護師が行う
  • 早朝・夜間・深夜の訪問看護加算との関係に注意

今回の内容が、訪問看護ステーションの方やケアマネさんの参考になれば幸いです。

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