訪問看護に大切なことは、利用者(患者)の生活を中心に看護を展開する視点です。
訪問看護が病棟での看護の仕事と大きく異なる点は、在宅であるという点です。在宅であるため、器材などにも制限があり、環境も利用者ごとに異なり、管理や動線に課題があることも多々あります。
この記事では、訪問看護で大切なこと、訪問看護師に必要なスキルや知識についてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
訪問看護の特徴

訪問看護では、患者さんを「ご利用者」と呼ぶことが一般的です。
訪問看護は、利用者の生活を第一に考え、療養生活をサポートする役割を持っています。
まず、病院と訪問看護の違いという観点から、訪問看護の特長をみていきましょう。
訪問看護の特長①看護目的の違い
病院での看護が「治療」を目的とするのに対し、訪問看護は「生活支援」を目的とします。
もちろん、褥瘡ケアや点滴交換などの処置も行いますが、治療以外にも日々の生活に直結した支援も行います。
例えば、入浴介助や排泄介助、歩行訓練や身の回りのお世話など。
病院では看護助手や介護士などが行っていることでも、訪問看護ではひっくるめてサポートしていきます。
訪問看護の特長②看護を提供する場所の違い
病院での看護が、医療環境の整った場所で看護を提供するのに対し、訪問看護は利用者の生活の場で看護を提供します。
そのため、限られた医療資源やスペースを使って看護を提供することになります。
お家にあるタオルや洗面器などを使わせてもらったり、ベッド以外は人ひとり立つのも難しいような環境で血圧測定や褥瘡ケアをしたりすることも。
そのため訪問看護は、病院以上に臨機応変な対応が求められます。
訪問看護の特長③看護の対象が利用者本人だけではない
訪問看護は、利用者本人だけでなくご家族のケアも行います。
病院では患者さん以外のご家族と接する機会は、病状説明の時か退院前カンファレンスくらいしかありませんよね。
訪問看護では、同居されているご家族はもちろん、別居されていてもご家族と接する機会は非常に多いです。
ご家族の方は、いろいろな思いを口にされます。在宅療養・在宅介護はご家族にとって非常に不安や負担も大きいものです。ご家族の思いに耳を傾け、ご家族の思いを知り、ご家族の思いに寄り添うことも訪問看護の大事な役割です。
特に、がん末期を在宅で過ごされる患者さんのご家族への精神的ケアは欠かせません。
ご家族と一緒に並走する姿勢が大事です。
訪問看護の特長④チームで関わる度合いが大きい
病院での看護に比べ、訪問看護ではさらにたくさんの職種と関わりながら、チームでサポートしていきます。
主治医や理学療法士などの医療職だけでなく、ケアマネージャーや介護福祉士などの福祉職との連携も必要とされます。
担当者会議の中では、たくさんの職種で意見を言い合い、患者さんにとってより良い方針を立てていきます。
「看護師だから」という気持ちで壁を作らず、たくさんの職種で連携しながら、おひとりおひとりを支援していくという意識を持つことが大切です。
訪問看護師に求められること

患者さんの生活支援を行う訪問看護。
訪問看護師は利用者やご家族にとって頼りになる身近な存在です。
ここからは、訪問看護師に求められる知識やスキルについてみていきましょう。
訪問看護師に求められること①コミュニケーション能力
訪問看護師にとって、利用者やご家族と信頼関係を築くことは必要不可欠です。
信頼関係を築くためには、しっかりとコミュニケーションをとること。
病院と違い、利用者やご家族との関係は数か月、数年と続いていきます。
医療従事者として医学的な視点で患者さんを観ることはもちろん大切ですが、医学的な視点・言葉で伝えるばかりでなく、まずは、傾聴し、受け入れ、信頼関係を築くところから始めましょう。
さらに、訪問看護師は主治医や病院の相談員、ケアマネージャーや地域包括支援センターの職員、訪問介護事業所のスタッフなど、様々な職種と連携する必要があります。
地域の関係者とスムーズな連携が図れるように、日ごろから小まめにコミュニケーションを取り、関係を築いておくことが大切です。
訪問看護師に求められること②洞察力、行動力、緊急時の対応力
訪問看護師には、観察力や行動力が必要です。
「あれっ、いつもと違うな。」という、小さな変化を見逃さずアセスメントする力。そして、その情報を主治医やケアマネなどに報告し、必要な支援を提案する行動力が求められます。
また、訪問看護は基本的には一人で対応するため、その場で緊急時の対応を迫られることもあるでしょう。
訪問看護師には、緊急時の対応力も求められます。
訪問看護師に求められること③医療保険や介護保険制度に関する知識
病院で受ける医療や看護には医療保険が適応されますが、在宅で受ける看護には、医療保険が適応される場合と介護保険が適応される場合があります。
基本的には介護保険優先のため、65歳以上の第1号被保険者で要介護認定を受けている方は、介護保険を使って訪問看護を受けることになります。
ただし、厚生労働省が定める疾病等「別表7」に該当する場合や特別指示書が出ている場合などは、医療保険が適応されます。
どのような場合に医療保険または介護保険が適応されるのか、それぞれの制度について理解しておく方がよいでしょう。

看護の現場ですぐに役立つ 訪問看護のキホン
看護師に必須の訪問看護ケアについての基本です。ケアマネジャーなどと連携して在宅の患者さんを看護するために必須の知識とスキルが身に付きます。在宅での訪問看護は病棟看護とは異なる悩みや不安があります。対象者の多くは高齢者ですが、子どもの利用者も増えており、ライフステージに合わせたケアや支援が求められます。
本書では、訪問看護の技術的なケアだけでなく、患者の生活の質を高めるツールとしても活用していただける内容となっています。
専門看護師や認定看護師の資格を活かすことも
特定の看護分野において専門的な知識を持ち、一定水準以上の看護が提供できるプロフェッショナルな看護師を専門看護師・認定看護師と言います。
それぞれの資格を活かせるのは病院だけではありません。
摂食・嚥下障害の認定看護師の方が、脳梗塞などで障害を負った患者さんを継続的に支援していきたいという思いから訪問看護に移ったという例もあります
訪問看護は、自分の持っている知識や経験、スキルを存分に発揮できる場なのです。
より深く「おひとり」に関わりたいなら訪問看護がおすすめ

訪問看護は、病院での看護に比べて「患者さん個人」だけでなく、家族や生活環境など「患者さんを取り巻く生活全体」を支援する意味合いが強いです。
治療よりも在宅での生活をサポートする訪問看護師は、病院よりも、より深く、より長く、ひとりひとりに向き合うことができます。
責任やプレッシャーも大きいですが、大変やりがいのある仕事です。
病棟以外の仕事について興味があるけれど、すぐに転職するのは不安だと感じている方は、「カイテク」でお試し勤務してみるのがおすすめです。
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看護師資格をお持ちの方は近くに興味のあるお仕事があるか、確認してみてはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール

- 看護師・保健師としての経験後、現在は高齢者のケアマネジメント業務に奮闘中。ベビーから高齢者の方まで幅広く関わっています。
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