2024年度|介護報酬改定|居宅介護支援 総まとめ

居宅介護

2024年度の介護報酬改定において、居宅介護支援は今回、非常に幅広い見直しが実施されるサービスの1つとなりました。

この記事では、居宅介護支援固有の介護報酬改定について分かりやすくコンパクトにまとめています。今回の改定では、細かな加算の要件が変更されています。変更された加算については、新規で様式等の準備が必要になるかもしれません。必要なものについての検討にお役立てください。

2024年介護報酬改定の全体像に関しては、こちらの記事をご覧ください。

居宅介護支援の介護報酬改定は、『2024年4月1日』に施行される予定となっています。

2024年度版介護サービスコード表

2024年4月(6月)の報酬改定に対応した【全サービス掲載】介護サービスコード表 です。
携帯用サービスコード表として、介護サービス・介護予防サービス・地域密着型サービス全般について基本的なサービスコードを抜粋し、その合成単位・内容の概略について記載しています。
(※画像は2022年のものです)

ここからは居宅介護支援の介護報酬改定項目の詳細について解説していきます。

質の高いケアマネジメントを行う体制を整えている居宅介護支援事業所は、特定事業所加算が算定できますが、その要件について以下のとおり変更となります。

  • 多様化・複雑化する課題に対応するための取組を促進する観点から、ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していることを要件とするとともに、評価の充実を行う
  • (主任)介護支援専門員の専任要件について、居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や地域包括支援センターの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合は、これらの事業との兼務が可能である旨を明確化する
  • 事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点から、運営基準減算に係る要件を削除する。これにより、運営基準減算が適用されたとしても、特定事業所として加算を取得できることとなる。
  • 介護支援専門員が取り扱う一人当たりの利用者数について、居宅介護支援費の見直しを踏まえた対応を行う。

令和6年4月から地域包括支援センターの業務負担を軽減するために、指定介護予防支援は居宅介護支援事業者が指定を受けて、居宅介護支援事業者と利用者が直接契約をすることができるようになることから、以下の見直しが行われます。

●市町村長に対し、介護予防サービス計画の実施状況等に関して情報提供することを運営基準上義務付けることに伴う手間やコストについて評価する新たな区分を設ける。

●以下のとおり運営基準の見直しを行う。
ⅰ 居宅介護支援事業所が現在の体制を維持したまま円滑に指定を受けられるよう、居宅介護支援事業者が指定を受ける場合の人員の配置については、介護支援専門員のみの配置で事業を実施することを可能とする。
ⅱ また、管理者を主任介護支援専門員とするとともに、管理者が他の事業所の職務に従事する場合(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業者の場合であって、その管理する指定介護予防支援事業所の管理に支障がないときに限る。)には兼務を可能とする。

●居宅介護支援と同様に、特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算及び中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の対象とする。

大まかに言うと「居宅支援事業所は、現在の状態から何の変更もなく『介護予防支援事業所』の指定が受けられる」ということです。

他サービス事業者と情報通信機器(LINEやzoomなどのビデオチャット・ビデオ通話等)を活用したモニタリング(オンラインモニタリング)を使って連携を取る場合において、人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から、以下の要件が設けられています。

■利用者の同意を得ること。
■サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること
・利用者の状態が安定していること。
・利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)。
・テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報を収集すること。
■少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。

ここで注意が必要なのは利用者の同意はもちろんですが、主治医の合意も必要だということです。未だに医師との連携には苦労が絶えないケアマネージャー達が少なくない中、ハードルの高さはいくらか感じられるようです。

入院時の迅速な情報連携をさらに促進する観点から、現行、入院後3日以内又は入院後7日以内に病院等の職員に対して利用者の情報を提供した場合に評価しているところ、入院当日中又は入院後3日以内に情報提供した場合に評価するよう見直しを行う。その際には、事業所の休業日等に配慮した要件設定を行う。

担当利用者が入院したときには入院した当日に病院に情報を送りなさい、入院当日に送れなくても3日以内には送りなさい、という内容です。事業所の休業日に配慮した要件設定を行うとしていますので、土曜日や日曜日入院などの場合は日数が緩和されるものとなっています。

利用者の口腔衛生の状況等を適切に把握し、医療と介護の連携を強化した上でケアマネジメントの質の向上を図る観点から、医師の診察を受ける際の介護支援専門員の同席に加え、利用者が歯科医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席した場合を同加算の対象とする。

利用者の通院・医師の診察にケアマネが同行すると加算となる通院時情報連携加算です。今回、歯科医院への診察同行も含まれることになりました。

自宅で最期を迎えたいと考えている方の意向を尊重する観点から、人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを要件とした上で、当該加算の対象となる疾患を末期の悪性腫瘍に限定しないこととし、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者を対象とする見直しを行う。併せて、特定事業所医療介護連携加算におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数の要件についても見直しを行う。

ターミナルケアマネジメント加算は末期がんで自宅において亡くなった利用者の担当をしていて、訪問回数等の必要な要件を満たしていた場合に算定できる加算です。これまでは末期がんに限定されていましたが、今後は末期がん以外の疾患での看取りも対象に含まれます。

退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始することを可能とする観点から、介護支援専門員が居宅サービス計画に通所・訪問リハビリテーションを位置づける際に意見を求めることとされている「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことを明確化する。

退院後早期に通所リハビリ・訪問リハビリを利用する場合には、在宅の主治医だけじゃなく、入院中の医師の意見も反映させるというものです。

(報酬)
居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化を踏まえ、ケアマネジメントの質を確保しつつ、業務効率化を進め人材を有効活用するため、居宅介護支援費について、以下の見直しを行う。

  • 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)の取扱件数について、現行の「40未満」を「45未満」に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)の取扱件数について、現行の「40以上60未満」を「45以上60未満」に改める。
  • 居宅介護支援費(Ⅱ)の要件について、ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ)の取扱件数について、現行の「45未満」を「50未満」に改め、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ)の取扱件数について、現行の「45以上60未満」から「50以上60未満」に改める。
  • 居宅介護支援費の算定に当たっての取扱件数の算出に当たり、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数については、3分の1を乗じて件数に加えることとする。

ケアマネジャーひとり当たりの担当件数上限の変更です。ケアマネジメントの質を保つために担当件数の上限を制限していましたが、これが緩和される形になりました。

(基準)
指定居宅介護支援事業所ごとに1以上の員数の常勤の介護支援専門員を置くことが必要となる人員基準について、以下の見直しを行う。

  • 原則として、要介護者の数に要支援者の数に 3分の1を乗じた数を加えた数が 44又はその端数を増すごとに1とする
  • 指定居宅介護支援事業者と指定居宅サービス事業者等との間において、居宅サービス計画に係るデータを 電子的に送受信するための 公益社団法人国民健康保険中央会のシステムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合においては、 要介護者の数に要支援者の数に 3分の1を乗じた数を加えた数が 49又はその端数を増すごとに1とする

ケアプランデータ連携システムを導入し、かつ事務職員の配置があれば、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ)で最大49件まで給付管理が可能となりました。
以前は「もしくは」だったのが、今回は「かつ」という文言になりました。居宅介護支援費(Ⅱ)を算定するためには事務職員の配置が必須となります。また、要支援の利用者に関しては1件を1/2件としてカウントしていたのですが、1/3件としてカウントするようになりました。

利用者が居宅介護支援事業所と併設・隣接しているサービス付き高齢者向け住宅等に入居している場合や、複数の利用者が同一の建物に入居している場合には、介護支援専門員の業務の実態を踏まえた評価となるよう見直しを行う。

いわゆる同一建物減算です。訪問介護などではすでに導入されているものですが、ケアマネに関しても移動時間が削減されるために労力が少ない分、報酬を削減すべきということです。

特定の事業所に偏らないように居宅介護支援事業者は重要事項説明(契約)に際し、過去半年のケアプランに位置づけたサービス事業所の割合を説明すべきという義務が努力義務となります。

居宅介護支援の報酬改定について下記の通りまとめています。

  • 特定事業所加算の算定要件から、運営基準減算に係る要件を削除
  • 居宅介護支援事業者が介護予防支援の指定対象に
  • オンラインモニタリングの一部解禁
  • 通院時情報連携加算、歯科医院も対象に
  • ターミナルケアマネジメント加算、末期がん以外の疾患も対象に
  • 利用者への事業所紹介割合の説明、必須義務から努力義務に
  • 特定事業所の要件として、ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加することが追加
  • 入院時情報連携加算のスピード化
  • 退院時のケアプランには入院中の医師の意見も反映
  • 介護支援専門員の取扱件数 最大49件に(居宅介護支援ⅰの場合)
  • 介護予防支援1/2件カウントから1/3件カウントに
  • 居宅介護支援にも同一建物減算が適用される

ケアマネジャーたちの意見は賛否両論。大半は「今でも業務負担はかなり重いのに、また負担が増える」という声が多いようです。

現場のケアマネージャー達の思いは、やはり業務量の増加に懸念があるようです。

現場のケアマネージャーの意見はこんな感じです。(私の周りのケアマネージャー達の個人的な意見なので、全体の意見ではないことをご理解ください。)

  • 介護予防支援を受けるくらいなら要介護を受けて売り上げを確保したい。だって、手間暇かかるのは同じだから。
  • 特定事業所加算を取っていかないと無理だと思う。でも、特定事業所加算の要件を見てると難しいと不安になる。
  • これ以上担当増やすの?ケアマネがバーンアウトする、やばいです。
  • 研修減らしてほしいと思っていたのにまた増えてる。嫌だ。
  • ケアマネの実務範囲がどんどん広がっている。ますます「何でも屋」になるんじゃないか?複雑になり過ぎてやっていけないかもしれない。
  • 給料上げてください‼

現場のケアマネージャー達は、毎日をご利用者のためのケアマネジメントに奔走しています。そんなケアマネジャーの処遇改善に関しては「基本報酬が上がった分を充当する」という方針ですが、どうでしょうか。

「良かった」と思ったり、「無理だ」と思ったり…の改定内容ですが、今後は、いかに業務効率化をしていくか。ここが頑張りどころになりそうです。

改定は、解釈やQ&Aが出て4月に施行されないと読みにくい点も多々あります。まずは、準備を確実にしていきましょう。 

2024年度版介護サービスコード表

2024年4月(6月)の報酬改定に対応した【全サービス掲載】介護サービスコード表 です。
携帯用サービスコード表として、介護サービス・介護予防サービス・地域密着型サービス全般について基本的なサービスコードを抜粋し、その合成単位・内容の概略について記載しています。
(※画像は2022年のものです)

パッと見で超わかる!2024年介護保険改正

2024年に行われる介護保険改正の内容を、サービス別にとことんわかりやすく図解。
Q&Aも交えて改正内容をいち早くまとめられています。
同時に行われる医療・障害に関する報酬改定の内容も網羅し、相談援助職はもちろん、介護サービスにかかわる管理職・現場スタッフ必読の一冊。

※参考
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001180879.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001180845.pdf

投稿者プロフィール

Mrs.マープル
Mrs.マープル
介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。

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