ケアプランに印鑑は不要|介護業界の押印ルールをおさらいしよう

居宅介護

ケアプランに印鑑は不要なのではないかという議論を最近よく耳にします。

社会的にペーパーレスが推奨され、進んできているなか、確認済というサインを意味する押印の扱いについては迷う人が多いようです。

介護業界においても近年ペーパーレスが急激に進んでいますが、印鑑についてはまだ少し不安が残っているように感じます。

この記事では、ケアプランを含めた介護業界の帳票類に関する印鑑の要・不要について詳しくまとめています。

結論からお伝えすると、ケアプランに印鑑は不要です。

厚生労働省の運営基準は以下の通りです。

  • ケアプランの内容について利用者又はその家族に対し説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。
  • ケアプランを作成した際にはケアプランを利用者に交付しなければならない。

要は、同意=印鑑というわけではなく、「印鑑」「押印」「確認印」というような記述は一切ないということです。
同意を得たうえで署名をもらう必要はあり、そのケアプランは利用者に交付しなければいけませんが、印鑑をもらわなければならないという規定はありません。

参考:「介護支援専門員」の職務(運営基準より)

訪問介護のサービス実施記録も同様に、ペーパーレスによる押印の有無への疑問が多く挙がっていましたが、こちらも同様に「同意」という文言のみで、「印鑑」についてはもともと規定がありません。そこで、そもそも押印という手順の不要なシステムやアプリを利用したり、確認印欄が印刷されていないサービス実施記録を利用する事業所が増えてきているのです。

その他、介護業界においては様々な帳票がありますが、確認印が必要だと規定されているものは多くありません。重要事項説明書なども同様で、契約書については、私法上、押印がないことで契約の効力を左右するものではないとされており、押印については各法人の裁量でと明言している自治体もあります。

参考:大阪市「よくある質問と回答」内閣府「押印についてのQ&A」

では、そもそもどうしてあらゆる書類に押印欄があるのかという疑問も湧いてきますよね。

日本は元々印鑑文化があり、古くから印鑑による取引の正式性や有効性が保証されてきました。当然、現在も押印が必要とされる書類も多くあります。

介護業界において、特に利用者との間で行われる書類においては、押印の必要性は規定されていないものの、こうした日本の文化において、テンプレートを作成する際に「あったほうがいいだろう」という流れでつけられてきたといえるでしょう。

また、「印」という文字が入った「確認印欄」があるのに押されていないものを見ると、書類として完成していない、というイメージを持ちます。

実際に介護事業所の実地指導では、ほとんどの実施記録の確認印欄に押印があるのに、押印のないものがあると「どうしてなのか」という疑問を持たれ、指摘を受けたという声はよく聞きます。押さないなら押さないで統一、押すなら押すで統一すべきという面はあるでしょう。

法的な効力という意味だけでなく、サインの代わりに、「見た」という印として、印鑑はこれからも残っていくとは思いますが、社会的にも業界的にも今後さらに進んでいくペーパーレス化に沿って、不要な部分に時間や手間はかけたくないものです。

日常的に行っている業務において本当に必要な作業なのか、もっと効率的な方法はないか、しっかりと見極めていきたいですね。

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