訪問ヘルパーをはじめたばかりで、
「時間内に、美味しい食事が作れるかしら?」
「冷蔵庫の中身は、なにが入っているのか心配」
と、不安に思っている方はいらっしゃいませんか?
安心してください!ご利用者さま理解と経験の積み重ねで、不安は解消されるでしょう。
ベテランヘルパーさんにお聞きした具体的なポイントをお話しします。
食事作りの悩みや不安をなくすために、ぜひご覧ください。
知っておきたい!ご利用者さまの情報5つ
入社時や訪問開始時に、全体や個人のオリエンテーションもあると思いますが、
時間や食材の制限下で食事を作るというプレッシャーを減らすためにも、訪問前に情報収集をしましょう。
訪問するご利用者さまのことをどのくらいご存じですか?
①食べるものに制限はありますか?
栄養バランスのとれた食事を作ることが求められます。
しかし、「病気やアレルギー」によっては、絶対食べてはいけないものがあります。もしくは、塩分、糖質、タンパク質、カリウム、水分、カロリーなどが制限されている場合がある方もおられるでしょう。
体調悪化や命にも関係する恐れがあるため、病気の有無やアレルギーなどは、特に重要な情報です。
➁その食事は食べられますか?
食は健康と直結しています。きちんと食べられていないと、栄養バランスが崩れ、栄養不良や体調不良の原因にもなるかも知れません。
嚥下や歯の状態、年齢、介護度などによっては、調理の工夫(一口大、刻み食、トロミ食など)が必要です。
申し送りや記録、カンファレンスなどで情報を把握しておきましょう。
③訪問時の体調はどうですか?
食欲が無かったり、体調が悪かったりすると、食事がとれず、栄養バランスが崩れるかもしれません。
訪問日の体調に沿った、食事の量や形状にも配慮が必要です。
ご利用者さまの様子を上司やケアマネさん、看護師、家族などに報告するようにしましょう。
③好きな食べ物は何ですか?
食は人の楽しみです。
一般的にご高齢者は、和食、煮物、蒸し物、スープなど、アッサリした食事を好みますが、ご本人にも一度、好みを尋ねてみましょう。食事や味の好み、旬の物などを工夫できると喜んでいただけると思います。
また、旬な食材は、お手頃価格なことが多く、節約にもつながります。
ご利用者さまが安全に食べられる食材を確認した上で、食事を楽しんでいただきたいですね。
④食中毒の兆候はありませんか?体調は大丈夫ですか?
食中毒を起こさないように、手指消毒や掃除、食材管理など、徹底した衛生管理は必須です。
食べたあとの経過は大丈夫でしたか?
また、調理後時間が経つにつれ雑菌が増えるため、作り置きなどを希望される場合は上司や同僚とカンファレンスをおこないましょう。食事する時間などの把握も必要です。
⑤食事に対して意見や感想はありませんか?
食事を提供するにあたって、ご利用者さまやご家族の声は積極的にお聞きしておきたい情報です。
現状の提供で良いのか、改善が必要なら手がかりになります。
食事提供に満足しているか、味が濃い、量が少ない、魚は嫌い、よく残す、作ってからだいぶ時間があく、お腹を壊したなど。
また、家族構成や経済状況、最近の健康状態・検査データの把握をおこない、ご利用者さまへの配慮が必要ではないか話し合いましょう。
ご利用者さまに有意義な日々を過ごしていただくため、サービス提供に必要な情報が必要です。その際、ご自宅に申し送り簿を配置すると、ご利用者さまやご家族の方からの情報が得やすくなります。そして、これらの情報は、記録やカンファレンスなどで共有されるでしょう。
「スピーディーに食事を作るコツ5つ」ベテランヘルパーさんに聞いてみた!
はじめから上手にできる方もいるかもしれませんが、多くの人は、苦戦するものです。自宅キッチンと使い勝手が違い、調味料が違って、「上手くいかないわ」と悩んでいませんか?
「どうしたら素早く、臨機応変に作れるのか」、ベテランヘルパーさんからいくつかコツを教えてもらいました。話されていたことを以下にまとめましたので、参考になることがあれば幸いです。
コツ1:キッチンにある調理器具をすべて使う
使える調理器具は、つかえるだけ活用しましょう。
例えば、オーブンで椎茸を焼いている間に、レンジでジャガイモを一次過熱して、コンロのフライパンで魚を焼き、隣のコンロで味噌汁のお湯を沸かすなど、すると時短になります。
・レンジ
・コンロ
・オーブントースター
・炊飯ジャー
・圧力鍋
・鍋ぶた
など、
そして、レンジは食材の下準備に便利です。
固めの食材も火が通りやすくなり時短になります。そのまま、レンジで仕上げられるレシピも活用しましょう。あとでおすすめの本も紹介しますね。
コツ2:チームプレーで冷凍食材の準備
余った食材や腐りやすい食材を、刻んで小分けして、冷凍保存していました。冷凍することで、シイタケやアサリなど旨味が増す食材もあります。
冷凍で食中毒予防にもなりますが、古くなると食中毒の原因になります。日付を書くことを忘れずに!
近年は、冷凍技術も進み、スーパーでも安全でおいしい冷凍食材が増えています。ご利用者さまと相談して予算内であれば考えましょう。
コツ3:めんつゆや缶詰などの活用
食事制限のない人には、非常時のためにも、予算内で用意しておくと安心です。
コツ4:使う野菜や、使う皿はテーブルに出してみる
何度も冷蔵庫を開けなくて済み、盛り皿が見えることで作る量の加減が分かります。
視覚で判断できて時短につながるでしょう。
コツ5:普段からレシピ情報やシュミレーション
気にかけて、情報を集めておくと役に立ちます。
集めた情報をスマホでブックマークするとパッと見つけやすいですし、ノートを作るとオリジナルのレシピ本ができます。
ただし、ノート作りには注意が必要です。ノートにご利用者さまの名前や住所などは書かないよう、個人情報の取り扱いには注意しましょう。
情報を集める先は、
・サイト(スマホ・タブレット)
・食品交換表
・記録・申し送り簿
・カンファレンス
・研修
・事業所で相談
など
集めた情報を元に自宅で実践練習すると、はやめに上達し、家事もスピーディーなるかもしれません。
ベテランヘルパーさんがスピーディに食事作りできる理由は、ご利用者さまを把握して、食事作りのレシピが頭にあり、経験があるからです。ベテランさんのように、経験を積むことで食事作りの悩みを減らせるでしょう。
食事作りのスキルアップ「参考になる本・サイト」
オススメはレシピ本を見ることです。ふだんから本を読んだり、レシピ本の写真を見たりしていると、知識が増えてすぐに対応できるようになります。
■おすすめ本
レンジでスピーディーに、ご高齢者さま向けの料理を作る
『 電子レンジでつくるシニアのらくらく1人分ごはん 』
レンジでカンタン、時短、安心の調理法。シニア向けレシピ本です。キャプスサイトで購入可能です。
他には、『 お年寄りの好きなかんたん料理480 』や『 ホームヘルパーお料理サポートシリーズ 』など、書店に参考になる本があります。
■おすすめサイト『 cookpadクックパッド 』
cookpadには、たくさんのレシピアイデアが詰まっていて、見るだけでも勉強になります。
『 cookpad 老人 』で検索すると3300食以上、『 cookpad 介護職 』で検索すると1300食以上のレシピが閲覧可能です。
ただし、持病やアレルギーの方の食事で、制限がある人は調味料の分量や食材を変えてください。
■カンタンに塩分濃度がわかるベンリな道具
料理をすくったり、料理にさしたりするだけで、カンタンに塩分濃度が確認できます。
『 TANITA 塩分計(しおみスプーン)・電子塩分計(しおみくん)』
料理つくりに慣れるまで、ヘルパーさんやご本人、ご家族の方も使える機器です。活用すると可視化できて安心かも知れません。
まとめ
ヘルパーさんをはじめたばかりの頃は、時間的制約や限られた食材しかない中で、食事作りに自信がないという方も多いです。しかし、知識と経験を積み重ねて、食事作りが上達すると、悩みや不安は減ります。
ご利用者さまのためにも、不安や悩みを減らすためにもインプットとアウトプット!知識や情報を得て、実践あるのみです!
ご利用者さまのことを思って作っていたら、ご利用者さまから喜ばれ、料理の腕は上達し、スピーディーに臨機応変に仕事ができるようになっているでしょう。そして、自宅でも、ご自分やご家族の生活の質も向上するかもしれませんね。
投稿者プロフィール
- 看護師歴20年。病棟から介護施設・訪問看護などで勤務。2020年からライター活動を開始。みなさまのお役に立てるような記事を作成したいです。どうぞよろしくお願いいたします。
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