厚生労働省は14日、2024年にむけ、サービスの運営基準や報酬など介護保険の制度改定の審議を進めている。中には、人材不足を考慮しながらも、質の高いサービス提供を可能とする「訪問+通所」の新サービスの創設や、要介護1や2でも、やむえない場合には特養の入所を認める「特例入所」などがある。
新サービス 通所+訪問
新サービスの創設は2012年以来の設置で、実に12年ぶりとなる。現在、高齢化社会に突入し介護サービスのニーズが高いにもかかわらず、人材不足などによりサービスの質の低下が危惧されていたが、今回の創設により、既存の施設を利用し人材とサービス施設の有効活用を狙う。介護事業者がより柔軟にサービス提供できる環境を整備する。
新サービスは、通所介護の事業所が訪問サービスを提供したり、市町村を指定権者とし、通所介護と訪問介護の事業所が連携をとり、地域密着型サービスのなかの一環として創設する。介護ニーズが急増するも、ホームヘルパーなどの人材不足がより深刻化していくなかで、在宅サービスの質を維持し向上させる施策としている。
要介護1や2でも特養入所を認める「特例入所」
さらに、介護度によって細かな取り決めのある「特養入所」も、その趣旨を明確化するため、今回は特例入所を設ける判断基準を審議に盛り込んだ。
要介護3以上の原則が厳しいために、条件を満たしても特養への入所が認められない現状も踏まえ、個々の状況に合わせた適切な運用を改めて強調。「特例入所」は、やむおえない状況で特養以外の生活が厳しい場合に認められる。例えば、
■認知症や知的障害などにより、日常生活に支障をきたす程の症状や行動があり、在宅生活の維持が困難な場合
■介護虐待などにより、心身の安全・安心が困難な場合
■家族からの支援が期待できず、地域の介護施設などによるサービスだけでは十分な生活支援ができず、在宅生活に支障をきたす場合
などが規定に該当するとしている。厚労省はこういったルールをより分かりやすく具体的に周知する方針。全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は「地域によっては在宅サービスの供給量が不足しているため、特例入所の柔軟な適用が必要。自治体の理解が深まるようお願いしたい」と要請した。
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