デイサービスの送迎トラブル対策|事故予防と発生時の対応を解説

通所介護

デイサービスならではの仕事といえば、利用者様の送迎業務です。
車の運転を伴う送迎業務では、施設内とは異なるトラブルが発生しやすいもの。

送迎業務に苦手意識をもっているスタッフの方も、多いのではないでしょうか。

今回は、デイサービス3施設で管理者を務めた筆者が、送迎トラブルの予防策と発生時の対応について、解説します。
実体験をもとに、必ず押さえておきたいポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

デイサービスの送迎トラブル
危険No.1は「交通事故」

デイサービスの送迎時には、さまざまなトラブルが想定されます。
筆者が所属していたデイサービスでも、大小さまざまなトラブルがありました。

  • 乗車中の利用者様の容体変化
  • 運転手が道に迷う
  • 交通渋滞に巻き込まれる
  • 約束の時間に間に合わない
  • 約束の時間にご家族・ご本人がいない
  • 送迎車の故障

なかでも恐ろしいのは、やはり「交通事故」です。
乗車している利用者様やスタッフはもちろん、無関係の地域住民の方に怪我をさせてしまう危険性があります。

交通事故は、送迎時に最も避けなければならないトラブルです。

送迎時のトラブルを予防する方法

交通事故を含む送迎時トラブルは、(一方的に被害者になる場合を除き)事前の対策で回避できます

筆者が管理者として特に気を付けていた予防策を、5つご紹介します。

①ゆとりのある送迎スケジュール

第一に、ゆとりある送迎スケジュールを心がけましょう。

送迎スケジュールがあまりにタイトだと、時間に間に合わせようと運転手に焦りが生まれます。
結果として、運転が荒くなったり、不注意になったりする危険性があります。

「このくらいあれば間に合うだろう」と思っていても、実際は交通事情などで思うようにいかないのが送迎業務。

送迎スケジュールに「プラス5分」のゆとりを組み込むことで、焦りによる事故を防げます。

②危険エリアの調査と周知

事故が発生しやすい危険なエリアを、事前に調査して周知しましょう。

利用者様のご自宅まで伺うデイサービスの送迎業務では、入り組んだ住宅街まで入っていく場合も少なくありません。
事故リスクのある場所は、必ずスタッフ間で共有しましょう。

具体的には、以下のような場所です。

  • 交通量の多い大通り
  • 死角のある交差点
  • 切り返しが難しい細い路地
  • 子どもが多い通学路
  • 利用者様のご自宅敷地内

特に運転経験の長いベテラン運転手さんや、地元在住のスタッフさんからよく話を聞き、地図を見ただけではわからないポイントを教えてもらうとよいでしょう。

③運転手への配慮

送迎業務を担当する運転手への配慮も大切です。
朝の体調や、夕方送迎時の疲れ具合などを見て、送迎業務を調整する必要があります。

スタッフの話を聞くと、特に「1日入浴介助をした後の送迎業務は辛い」という方がいました。

大規模デイサービスセンターだと、1日に30人以上の入浴介助をすることも珍しくありません。
その後の運転業務は、体力・集中力ともにかなりハードなものだと、想像できるでしょう。

上記はあくまで一例です。

運転するスタッフの心身状態をよく観察し、送迎人数を減らす、運転手を交代してもらうなど、柔軟に対応しましょう。

④2名体制での送迎

ワゴン車などの大きな送迎車を利用する場合、2名体制で送迎しましょう。
運転に専念する1名と、添乗する1名です。

2名体制にする理由は、以下3つです。

  • 運転専従のスタッフと介助に専念するスタッフをペアにすることで、効率的に送迎できる
  • 危険のある道では1名が外に出て誘導できる
  • 利用者様を自宅にお送りしている際、1名が車に残って他の利用者様の対応ができる

大きな送迎車は、一度に乗車される利用者様の人数が多く、スタッフにとって負荷が高くなります

大きな送迎車の場合、ペアで送迎することでスタッフの身体的・精神的な負担を減らしましょう。

⑤定期的な安全講習と教育

日頃から安全に関する講習を実施しましょう。

多くの場合、介護施設は交通事故に備えた車両保険に加入しています。
保険会社が無料で交通安全講習を実施してくれる場合もあるので、積極的に活用しましょう。

他の施設で起こった事故内容をケーススタディとし、自施設に生かしていくのも有効です。

また、新人スタッフの方や新しい利用者様宅に訪問する際は、ベテランスタッフが同乗して指導するとよいでしょう。

出発時の「いってらっしゃい。気をつけて」の声かけだけでも、スタッフの意識は高まります。

日頃から事故予防に関する注意喚起を行うとともに、万が一事故が起こってしまった場合の対応を、繰り返しスタッフに指導するようにしましょう。

デイサービスの送迎で
事故やトラブルが発生したら

もしデイサービスの送迎中に事故やトラブルが発生したら、どのような対応が必要でしょうか。

筆者も、スタッフが交通事故を起こし、現場対応からその後の事故処理までを対応させていただいた経験があります。

大切なポイントを5つご紹介します。

①まずは落ち着く

何よりも大切なのは、まず事故を起こした本人が冷静でいられることです。

事故を起こしたくて起こすスタッフはいません。
だからこそ、不慮の事故に気が動転してしまう方がほとんどです。

ハンドル付近に「深呼吸。落ち着いて」といったステッカーを貼っておくだけでも、意外と効果があります。

②負傷者の救護と二次被害の回避

一呼吸おいたら、まずは負傷者の救護と二次被害の回避に専念します。

同乗している利用者様に怪我や気分不良はないか、人身事故の場合は相手方に怪我がないかを確認します。

外傷がないように見えても、頭を打っている場合などは注意が必要です。
(バイタルの確認ができるよう、血圧計を車内に準備しておくようにしましょう。)

体調不良や外傷がある場合は、迷わず救急車を呼んでください

玉突き事故などの二次被害が起きないように安全を確保しつつ、利用者様や関係者の救護を優先しましょう。

③デイサービスへ連絡

負傷者の救護と二次被害の回避ができたら、筆者はまずデイサービスに電話を入れるよう、スタッフにお願いをしていました。

事故対応をひとりの判断で行うのは、とても危険です。
普段は冷静な方でも、落ち着いた対応ができない場合も少なくありません。
まず管理者に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。

管理者は、いきなりスタッフを叱責するのではなく、落ち着いた口調で必要な対応を伝えます。
(できれば現場に駆けつけ、スタッフを一人にしないようにします。)

事故原因の解明は二の次です。
事故現場の住所や、怪我人の有無、同乗者の有無などの現状報告をし、管理者に指示を仰ぎましょう。

④警察へ連絡

事故発生後は、速やかに警察へ連絡します。
デイサービスの管理者に報告したら、必ず警察への通報を指示されるはずです。

かすり傷程度の物損事故だったとしても、警察に通報せずに立ち去れば「当て逃げ」になります。
どんな小さな事故でも、必ず通報しましょう。

警察の方が来てくれたら、正確に状況を報告します。
必要な対応は警察の方が教えてくれるので、指示に従いましょう。

「この程度の事故なら警察を呼ぶ必要はない」といった勝手な判断は禁物です。
事故を起こしたら必ず通報してください。

⑤保険会社へ連絡

一通りの対応が済んだら、車両保険の会社へ連絡しましょう。
事故状況を正確に伝えることで、適切な保険対応を検討してもらいます。

自分が事故を起こした場合も、事故に巻き込まれた場合も同様です。

迅速に連絡できるよう、送迎車内には保険会社の担当者の連絡先と、自分の所属するデイサービス情報(住所、連絡先、保険番号など)を掲載しておきましょう。

この時点で管理者や他のスタッフが駆けつけてくれていたら、保険会社の対応はそのスタッフに任せて大丈夫です。

とにかく関係者の身の安全を第一に動きましょう。

デイサービスの送迎トラブル対策を入念に!

デイサービスの送迎は事故が起きやすい業務だと心得て、入念な予防策が必須です。

また、万が一事故が発生してしまったときに適切な対応ができるよう、スタッフへの日頃の教育を怠らないようにしましょう。

「もしも事故が起こったら」を想定し、事故対応のシミュレーションをしておくことも大切です。

利用者様や関係者の安全確保のために、全スタッフが事故予防を心がけましょう。

いざというときの対応をファイルにまとめておこう

万が一事故が発生した場合の対策をマニュアルにまとめて、ファイルに入れて送迎車に格納しておきましょう。
管理者の名刺も複数枚入れておくと、いざというときに便利です。

キャプスのフラットファイルなら、必要な情報をすべて一冊に収納できます。
送迎車ごとに、事故対応マニュアルを格納しておきましょう。

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投稿者プロフィール

古賀 清香
古賀 清香
神奈川県在住。Webライター。新卒で福祉企業に入社。ショートステイ、デイサービスで勤務したのち、デイ管理者や新規施設の立ち上げを担当。介護福祉士。2児のわんぱく男子を育てるフリーランスワーママ。

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