看護師の働く職場は病院だけではありません。
クリニックはもちろん、訪問看護ステーションや老健や特養、保健所や市町村保健センター、学校や保育所、企業や健診センターなど多岐にわたります。
働き方も日勤や夜勤、単発など自分に合った働き方を選ぶことができますよ。
自分は何に興味や関心があって、何をしたいのか。
それぞれの特徴を知って、自分に合った職場を選びましょう。
病院以外で活躍できる場所
2021年の日本看護協会調査研究報告によると、看護師の勤務場所として挙がっているのは以下の通りです。
病院 | 90.3% |
診療所 | 2% |
保健所・市区町村保健センター | 0.2% |
省庁・都道府県・市区町村 | 0.2% |
検(健)診センター・労働衛生機関 | 0.1% |
学校・幼稚園・保育所 | 0.2% |
訪問看護ステーション | 3.3% |
地域包括支援センター・在宅介護支援センター | 0.1% |
介護老人福祉施設・介護老人保健施設 | 1.6% |
ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム | 0.2% |
その他の居宅サービス事業所 | 0.2% |
その他の社会福祉施設 | 0.5% |
看護系教育研究機関 | 0.1% |
その他 | 0.9% |
以上の結果から、9割の看護師が病院で働いていることが分かります。
しかし、1割の看護師は様々な分野に分散しており、看護師の活躍できるフィールドは確かに広がっています。
では、それぞれの分野の特徴について見ていきましょう。
省庁や都道府県、保健所や市区町村、保健センターなどの行政分野
行政で働く看護師は、感染症や難病に関する相談業務、乳幼児健診やがん検診、健康教育などに従事します。
配置される分野が幅広いため、感染症や難病、母子保健や精神保健、成人高齢者保健などの幅広い知識が要求されます。
新型コロナウイルス感染症業務の第一線で活躍しているのも、行政で働く保健師・看護師です。
実際、疫学調査から健康観察、入院調整まで、寝る間もなく働いています。
住民の健康を守るという意識を持って尽力することが求められる職場です。
市区町村や保健センターで働く看護師の方が、省庁や都道府県、保健所よりも対象者に直接的なサービスをすることが多いのが特徴です。
行政分野で働く看護師は、他の分野に比べて事務作業も多く、パソコンの入力作業や書類作成も任されます。
細かな事務作業が得意な方は向いていると言えるでしょう。
検(健)診センターや企業などの産業分野
産業分野は、検(健)診センターや企業で働き、健診業務や職員(社員)の健康づくり、治験のコーディネーターやフィールドナースとしての業務に従事します。
検(健)診センターで働く看護師は、住民健診や企業健診などで、尿検査や血圧測定、採血、診察介助などを行います。
看護師が行う医療行為自体は基礎的なものなので、経験さえあれば問題なくこなすことができますよ。
検(健)診業務は、自社のセンターで行う場合や、自治体や企業へ出向いて行う場合があります。
健診を出張して行う場合、出張先が遠ければ前日入りや早朝から出発しなければならないこともあるため、小さいお子さんがいる方には難しい職場かもしれません。
一般企業での看護師は、学校で言う「保健室」にあたる健康管理室への勤務、治験コーディネーターやフィールドナースとして働くなど、看護師の仕事内容は幅が広いです。
健康管理室では、職員(社員)の健康管理が主な業務であり、職場健診の管理や産業医との連絡調整、職員の健康相談などを行います。
近年は、メンタル面の支援が重視されており、産業医と連携しながら、必要であれば配置転換や環境調整などの進言を行うなど、産業看護師の果たす役割は大変大きいです。
その他、治験コーディネーター(CRC)は、新薬の開発をお手伝いする仕事。フィールドナースは医療機器の販売促進のために営業活動を行う仕事です。
医療に関する専門知識を存分に活かすことのできる仕事でしょう。
学校や幼稚園、保育所、認定子ども園などの教育・保育分野
教育・保育分野での看護師の仕事は主に以下の通りです。
- ケガの応急処置
- 感染症対策・アレルギー対応
- 子どもたちや先生のメンタルケア
- 保護者への健康教育、健康相談
- 保育補助 など
学校や幼稚園、保育所などで働く看護師は年々増えています。
発達障害のお子さんやメンタルに問題を抱えているお子さんへの支援が重要視され、アレルギーを持つお子さんも増加してきたことが背景にあるのではないでしょうか。
学校や保育の分野では、子どもたちの発達段階や教育・保育に関する知識も必要です。
正常発達ではどのような発達経過をたどるのか、学校保健法で定められている感染症の出席停止期間は?など、小児保健分野の知識を深めておく必要があります。
訪問看護ステーション
訪問看護は、患者さんの在宅での療養生活をサポートする仕事です。
訪問看護師は、主治医の指示の元、患者さんの生活の場に出向き、医療的ケアや生活支援を行います。
具体的な訪問看護のお仕事は以下の通りです。
- 健康状態の観察
- 褥瘡ケアや点滴交換などの医療処置
- 療養生活の相談や助言・指導
- 患者さん、ご家族の精神的ケア
- 緊急時の対応
- 主治医やケアマネとの連携 など
訪問看護は、病院と違い、一人ひとりの患者さんやご家族とじっくり関わることができます。
数か月、数年のお付き合いになるため、患者さんの回復していく姿や最期の姿を見ることも。
患者さんやご家族の一番身近で頼りになる存在である訪問看護師。
じっくり時間をかけて一人ひとりの患者さんと向き合いたい方にはピッタリでしょう。
介護老人保健施設や介護老人福祉施設などの高齢者施設
特養や老健、老人ホームやデイサービスなど、高齢者の方を中心に看護を提供します。
病院と違い、患者さんの回復をサポートするというより、利用者さんに寄り添う看護という意味合いが強いでしょう。
利用者さんが安楽に生活できるように、健康観察を行い、食事介助や入浴介助などを行います。
看護師と介護士が行う仕事をきっちり分けている施設もありますが、看護師が介護を補助しなければならない場合も多いです。 おむつ交換などの排泄介助や体位変換なども仕事に含まれます。
障害者支援施設など、その他の社会福祉施設
看護師は、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所、救護施設や児童養護施設などで働くこともできます。
心身に障害を持つお子さんの通所先が、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所であり、就学前のお子さんを受け入れるのが児童発達支援、小学生から高校生までを受け入れるのが放課後等デイサービスです。
人工呼吸器の管理や痰の吸引、経管栄養など、医療的ケアが必要なお子さんを受け入れる場合、看護師の配置が必要になります。
さらに、児童発達支援や放課後等デイサービスは、発達障害のお子さんも対象になっているため、看護師には医療技術だけでなく発達障害に関する知識も求められます。
救護施設や児童養護施設、乳児院など、障害のある方や、虐待などで家庭生活が困難なお子さんを受け入れる施設においても看護師は活躍しています。
発達障害の子どもたちをサポートする本
理解を深め、子どもに寄り添う。発達障害の基礎知識がわかる。家庭、園・学校でできる声かけや接し方のコツ。効果的なサポート例とケアが満載。
得意なことに取り組んで能力を伸ばす。自信につなげる学習のヒント。
まとめ:看護師が活躍できる場所は多岐にわたります!
看護師の9割は病院で働いていますが、あとの1割は様々な分野で働いています。
病院で数年勤務し、基礎的な医療処置や看護のスキルを身に付けてから、他の分野に移るのが一般的でしょう。
看護師の仕事は全年齢層を対象にし、仕事内容も幅広いです。
医療や看護に関する知識はもちろん、事務処理能力や保育、介護、社会福祉に関する知識なども求められます。
日々、自分の知識やスキルの研鑽に励み、能力を最大限発揮できる職場を選びましょう。
自分が何をしたいのか、理想の自分に近づけるといいですね!
投稿者プロフィール
- 看護師・保健師としての経験後、現在は高齢者のケアマネジメント業務に奮闘中。ベビーから高齢者の方まで幅広く関わっています。
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