介護の現場で働いていると実施記録を書く機会が多いと思います。
毎回書いていると「もう書くことがない」「何を書いたらいいのか分からない」など、実施記録が書けないというお悩みはありませんか?
この記事では、「実施記録が書けない」がなくなる実施記録の書き方のコツと効率よく実施記録を書く習慣をご紹介しています。ぜひ最後まで読んで、日々の業務に取り入れてみてくださいね。
実施記録を書く目的を解説
実施記録を書く前に「どうして実施記録を書くのか」を押さえると実施記録が書きやすくなりますよ。
実施記録を書く目的は、基準で定められているからです。
19条2
指定通所リハビリテーション事業者は、指定通所リハビリテーションを提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しているか。
他にも実施記録を書くことで以下のメリットもあります。
- 職員間での情報共有ができる
- 利用者の身体状況・提供したサービス内容などを見返しやすく、ケアプランに反映させることができる
実施記録は、算定報酬上必要なものなので必ず書かなくてはいけませんよね。また、実地指導で何かあったときに「記録」があれば安心です。しかし、記録を書く時には要点を押さえて書くことが大切です。
次に、実施記録で書くコツをお伝えしていきます。
実施記録で「書けない」がなくなるコツ5選
いざ実施記録を書こうとすると「何を書いたらよいか分からない」と頭のなかが真っ白になった経験はありませんか?
実施記録を書くときのコツをお伝えしていきます。
事実を書こう
実施記録を書くときに大切なのは「客観的事実を正確に書く」です。
小学生のような絵日記ではなく、誰が読んでも事実が把握できるようにすることが大切です。また、利用者と接していて気づいたことや今後どうしたらよいのか、など記録者の見解を書く場合は、事実なのか記録者の見解なのか分かるようにしておきましょう。
介護現場ではヒヤリハットがおきることもままありますよね。そのような時も、実施記録に事実を記載しておくことで「どうしてヒヤリハットが起きたのか」「未然に防ぐにはどうしたらよいのか」など検証と対策につながります。
具体的に書こう
具体的に書くことも実施記録を書く上で大切です。
提供したサービス内容などを具体的に書きましょう。あとから見返したときに分かりやすいです。また、誰がどのようなサービスを提供したのか記録しておくことで、サービス提供の証明にもなりますよね。
5W1Hを意識しよう
文章を書いたり人と話したりするときに「5W1H」は基本です。実施記録でも同様で5W1Hを意識することが大切です。
5W1H
When:いつ
Where:どこで
Who:誰が
What:何を
Why:なぜ
How:どのように
5W1Hを意識することで情報が整理され、実施記録が書きやすくなりますよ。
もし介護現場でヒヤリハットが起きてしまった際にも5W1Hで情報を整理して書くことで、周知しやすくなります。利用者の身体状況は日々変化しますので、適切な対応や安全に配慮した行動をとるためにも情報を整理して記録しましょう。
実施記録ではSOAPも大切
実施記録を書く際にSOAP(ソープ)も大切になってきます。
S(Subject)主観的データ:利用者の訴え、病歴など
O(Object)客観的データ:診察や検査などで得られた情報
A(Assessment)アセスメント:SとOをもとに分析、解釈
P(Plan)プラン:治療方針や生活指導などの計画
上記4つの頭文字をとってSOAP(ソープ)と読みます。情報が整理されやすく、課題や問題点を明確にすることができるメリットがあります。
しかし、SOAPは働いている職種によって捉える視点が違うというデメリットもあります。デイケアで働いている職種ごとにどのような捉え方をしているのか例をご紹介します。
- 介護:関わった事柄について記載することが多い
- 看護:病状や症状について記載することが多い
- リハビリ:実施した訓練の項目ごとに記載することが多い
具体的な数字を記載しよう
実施記録では、サービス提供日や送迎の時間、トイレの回数など具体的な数字で記載することが多いです。
また、血圧や体温など身体機能のことも数字で記載することが多いですよね。
実施記録を書くときには、数字と一緒に事柄を記載すると書きやすいですよ。
実施記録を書く時によく使う用語を覚えよう
実施記録を書くときによく使う用語はありますか?用語を覚えておくと、実施記録を書くときにスムーズに書けるようになりますよ。
筆者の場合は、「BP(血圧)」「KT(体温)」など医療用語・略語を使用する場合が多いです。これらは介護現場でよく使われる医療用語・略語になりますので、覚えておくと実施記録を書くときに時短になりますよ。
介護現場でよく使われる医療用語・略語の一部をご紹介します。
- BP(Blood Pressure):血圧
- P(Pulse/Puls):脈拍
- T(Temperature):体温 KTやBTとも略される
- ADL(Activites of Daily Living):寝返りや起き上がりなど基本的な日常生活動作
- QOL(Quality of life):生活の質
医療用語・略語の他にも覚えておくと便利な表現方法があります。
筆者が働いている施設での体験ですが、先日利用者さんの食事内容が変わりました。軟飯から普通のごはんに変更になったときの実施記録に食事内容の変更・食べているときの様子などを記載しました。このような時、表現方法を知っていると迷うことなく実施記録が書けますよね。
そこで、今回は食事の例をご紹介します。
- むせこみはなし
- 食べこぼしはない
- ゆっくりと口に運ぶ
- 飲み込みに問題はない
介護現場では他にもさまざまな場面がありますので、場面ごとによく使う表現方法を覚えておくと便利ですよね。
こちらもおすすめです。
介護記録の書き方を事例別に解説しています。
目で見てわかる介護記録の書き方
適切な記録を書くための観察ポイントを図解。
何を、どう見るのかハッキリわかります。「特変なし」の時の書き方もフォロー。
「特に書くことがない」場合の対応もバッチリです。認知症ケア、医療的ケアもしっかり収録。
豊富な事例を元に記録の書き方を紹介しています。
伝わる介護記録の書き方
介護現職の新人および就職希望者のために、利用者および利用者の家族にとって最適なサービスのための介護記録の書き方がわかる本です。
介護記録を書く意味、事実を書くために観察すること、事実に対して思考すること、相手に説明することの大切さを説明し、さらに、すぐに使える必要項目・表現例を紹介しています。
介護職スキルアップブック手早く書けてしっかり伝わる!介護記録
「時間をかけずに正しく書ける」介護記録の書き方のポイントがわかる!
すぐに使える場面別文例が満載!
気になる場面やヒヤリハット場面が充実しています。
実施記録を効率よく書ける習慣を取り入れよう
日々の業務でウエイトを占める実施記録の記載ですが、ある習慣を取り入れると効率よく書けるようになりますよ。先ほどご紹介したコツと一緒にぜひ試してみてくださいね。
1つの文章で伝えたいことは1つにする
実施記録をかくなかで、記載したい内容がたくさんある時がありますよね。
ですが、1文にあれもこれもとたくさん詰め込むと、情報量が多くなり読みにくくなってしまいます。1つの文章には1つの情報を入れるようにしましょう。そうすることで、情報が整理され伝わりやすい文章になりますよ。
普段から、1文1義を心がけるように習慣化しましょう。
対象者をよく観察する
こちらは、筆者が心がけていることになります。
当たり前ですが、対象者をよく観察するようにしましょう。
「いつもと同じ様子なのか」「どこか痛いところはないか」「気分の落ち込みはないか」など普段の様子や事前に把握している情報を押さえながら観察をすると変化に気づきやすいですよ。
筆者も普段からよく対象者の観察をしています。実施記録なども確認をしておくと自分が休みの日の様子も把握できますよね。
対象者に何か変化があれば、実施記録に記載することが大切です。
すぐにメモをとる
何かあればすぐにメモをとるようにすると便利です。
業務中に「今日は実施記録に‘いつもは入浴するのに今日は気分が悪くて入浴を拒否された‘ことを書こう」そう思っていても、いざ実施記録を書く段階になったら忘れてしまうことってありませんか?
人間は時間が経つにつれて記憶をなくしていきます。また、他の業務や対応に追われている間に忘れてしまうこともあるあるですよね。
忘れないためにも、メモをとる習慣をつけましょう。
まとめ
介護の現場ではとても大切な実施記録。
実施記録が「書けない」と他の業務にも影響が出てしまいますよね。今回は、実施記録を書くコツと効率よく書けるようになる習慣をご紹介しました。
ぜひ、日々の業務に取り入れてみてくださいね。
投稿者プロフィール
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作業療法士×ライターです。
みなさんに介護の情報を分かりやすくお届けします。
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