- 「ケアマネジャーになるにはどうすればいいの?」
- 「ケアマネジャーは最短何年でなれるの?」
- 「ケアマネジャーになるメリットは?」
今回は以上のような疑問に対して、現役のケアマネジャーである筆者がお答えしていきます。
本記事を読めば、ケアマネジャーになるまでの具体的手順や最短での取得方法、取得してからのメリットなどがわかります。
これからケアマネジャーを目指す方には参考になる内容なので、ぜひご覧ください。
ケアマネジャーとは?
ケアマネジャーとは、かんたんに言うと「利用者が適切な介護サービスが受けられるようにサポートする人」です。
具体的な仕事内容は、ケアプランといわれるサービス計画書の作成や、ご利用者の相談に応じるなど多岐にわたります。
またケアマネジャーという名称は略称で、正式には介護支援専門員といい、介護保険のスペシャリストという見方もできるでしょう。
ケアマネジャーの仕事については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせて読んでみてくださいね。
ケアマネジャーになるには?基本的な流れを紹介
ケアマネジャーになるには、以下の手順で進めていきましょう。
- ケアマネジャーの受験資格を満たす
- 介護支援専門員実務研修受講試験に申し込む
- 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
- 介護支援専門員実務研修を修了する
- 介護支援専門員証の登録申請をする
一つずつ詳しい内容を解説します。
1.ケアマネジャーの受験資格を満たす
ケアマネジャーの試験を受けるには、以下のいずれかの受験資格を満たさなければいけません。
- 特定の国家資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上で、従事した日数が900日以上である
- 受験資格に定められる相談援助業務の実務経験通算5年以上で、900日以上の従事日数がある
特定の資格には介護福祉士や社会福祉士などがあり、現場の介護職からケアマネジャーを目指す場合は、まず介護福祉士の資格取得を目指す必要があります。
そのため、介護福祉士の取得には最低3年の実務経験が必要で、さらにそこから5年の実務経験を経てケアマネジャーの受験資格を満たします。
したがって、未経験からケアマネジャーを目指す場合は、最低でも8年はかかるということです。
相談員業務に関してもいきなり未経験で始めることは難しく、現場の介護経験や福祉系の大学を卒業し、社会福祉士を取得するなどした上で実務経験を積む形になるので、同じく8年近くかかるでしょう。
なお必要な従事期間については試験前日まで含められるため、試験申し込み時点で実務経験が足りない場合でも、実務経験見込証明書を提出することで受験可能です。
2.介護支援専門員実務研修受講試験に申し込む
受験申し込みには、以下の書類や費用が必要です。
- 受験申込書
- 実務経験証明書の内容確認等に必要な添付書類
- 実務経験証明書、または実務経験見込証明書
- 受験料(都道府県よって異なります)※参考例:東京都の場合は12,548円
試験は原則、職場がある都道府県で受験します。各都道府県によって申し込み時期や提出書類は異なるので、事前に必ず確認しておきましょう。
3.介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。
介護支援専門員実務研修受講試験の概要については、以下を参考にしてください。
試験の時期 | 年1回開催で10月頃 |
申し込み時期 | 6月〜7月あたり(都道府県によって異なる) |
試験の形式 | 筆記試験(60問/120分)マークシート式 |
試験の内容 | ・介護支援分野(25問) ・保険医療福祉サービス分野基礎(15問) ・保険医療福祉サービス分野総合(5問) ・福祉サービス分野(15問) |
ちなみに、過去5年の合格率は、以下のとおりです。
- 第25回(2022年):19.0%
- 第24回(2021年):23.3%
- 第23回(2020年):17.7%
- 第22回(2019年):19.5%
- 第21回(2018年):10.1%
2割弱と全体的に低めの合格率ですが、計画的に勉強すればけっして難しい問題ではありません。
4.介護支援専門員実務研修を修了する
試験に合格しただけでは、ケアマネジャーになれません。
ケアマネジャーの業務は、介護保険制度の知識や介護保険サービスの種類、ご利用者のニーズの把握などさまざまなノウハウが必要です。
そのため、実際に働く前に研修を受けることで、スムーズに仕事を始められるようになっています。
都道府県によって差はありますが、基本的には以下のような研修スケジュールです。
- 前期研修(8日間)
- 実習(3日間)
- 後期研修(7日間)
合計で87時間の研修となっています。
筆者が合格した当時は、研修時間が現在の半分でした。それでも、濃い内容だったことを考えると、今はよりさまざまなことを学んだ状態で、ケアマネジャーの実務に臨めるでしょう。
5.介護支援専門員証の登録申請をする
研修が修了すると、修了証明が発行されます。
原則、研修終了から3ヶ月以内に登録申請をする必要があり、けっこう慌ただしい期間になりやすい印象です。
登録申請後、介護支援専門員証が交付されたら、晴れてケアマネジャーとして働くことができます。
なおケアマネジャーは5年ごとの更新制のため、資格を取得して5年経つと、再び研修を受ける必要があります。
ケアマネジャーの仕事内容は?
ケアマネジャーの仕事内容は、主に以下の5つです。
- ケアプラン(サービス計画書)の作成
- モニタリング
- サービス担当者会議の開催
- 給付管理表の作成
- 要介護認定のサポート(認定調査)
それぞれ介護保険において必要不可欠な仕事です。
詳しい内容を一つずつ解説するので、今後ケアマネジャーとして働きたい方はぜひ参考にしてください。
ケアプラン(サービス計画書)の作成
ケアマネジャーのもっとも重要な仕事は、ケアプランといわれるサービス計画書の作成です。
具体的には、以下のようなことを決めていきます。
- 生活する上でのなりたい将来像(目標)
- 目標達成のために必要なこと
- 具体的なサービス内容
- サービスを提供する機関や頻度など
ご利用者が理想とする生活の実現のために、ケアマネジャーは必要不可欠な職種と言えるでしょう。
モニタリング
サービス提供が開始されたら、定期的にご利用者の様子を記録に残していきます。
その際にご利用者の心身の状態や病気の具合などに変化があれば、ケアプランの内容を変更する可能性もあります。
常に最適なサービスが提供されているか検討するためにも、モニタリングは非常に重要な仕事のひとつです。
サービス担当者会議の開催
サービス担当者会議は、ケアプランを作成する際に、そのプランの内容がご利用者にあっているかどうか、ご利用者やその家族、各専門職で話し合う場です。
ケアマネジャーは会議の日程調整や進行役など、主に調整役を担います。
会議の中で、新しい意見やプラン内容の変更の話が出た場合は、再度ケアプランを考え修正することも大切な仕事です。
給付管理表の作成
介護保険サービスを提供する介護事業者は、国民健康保険団体連合会(いわゆる国保連)に対して、介護給付を請求します。
そしてケアマネジャーが介護給付費管理を担当し、国保連に提出する「給付管理票」などの書類を作成します。
給付管理をする際は、ご利用者のサービスに対する満足度もチェックする必要があります。そのため、モニタニングの時点で、ご利用者のサービス満足度も把握しておくようにしましょう。
要介護認定のサポート(認定調査)
要介護認定をする際は認定調査が必要で、ご利用者の現在の状態をチェックします。
認定調査はケアマネジャーが行う場合もあり、要介護認定における重要な仕事です。
具体的な内容については、ケアマネジャーがご利用者の自宅に訪問し、かんたんな質問したり体の動きをチェックしたりして、専用の様式に記入していきます。
業務内容については、項目が記載された書類があるので、そちらを見ながら進めれば誰でもかんたんに進められます。
ケアマネジャーになる3つのメリット
ケアマネジャーになるメリットは、以下の3つです。
- 1.収入アップが見込める
- 2.介護士と比べると体力的負担が少ない
- 3.ご利用者の目標達成のためのサポートができる
それぞれ具体的な内容を見ていきましょう。
1.収入アップが見込める
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職よりもケアマネジャーのほうが収入は高くなっています。
参考:厚生労働省
また施設によっては、管理職やリーダー職になるには、ケアマネジャーの資格を必要としているところもあります。
将来のキャリアアップの選択肢を増やすためにも、ケアマネジャーの資格はぜひ取っておきたいですね。
2.介護士と比べると体力的負担が少ない
ケアマネジャーは、介護業務は行いません。その分デスクワークやご利用者の自宅に訪問するといった仕事がメインになります。
介護業務と比べると体力的負担は少なく、腰痛をはじめとした慢性的な痛みがある場合は、介護職からケアマネジャーへのキャリアチェンジは有効と言えるでしょう。
3.ご利用者の目標達成のためのサポートができる
ケアマネジャーが作成するケアプランには、ご利用者が目指す理想的なサービス内容が記載されています。
ケアマネジャーが選択した介護サービスが、ご利用者にとって最適であれば、生活状況や心身の状態が向上するなど目に見える形で反映されるでしょう。
そのときにケアマネジャーは、自分がサポートした内容で、ご利用者が良くなっていく姿を感じられます。
またご利用者本人やご家族から、直接感謝の言葉をかけられる場合もあり、それが仕事のモチベーションにもつながっていくでしょう。
ケアマネジャーに向いているのはこんな人
以下のような人は、ケアマネジャーに向いているでしょう。
- スケジュール管理が得意
- デスクワークが好き
- コミュニケーションが苦にならない
- 新しい知識を積極的に学べる
- 他人の気持ちを理解しようと寄り添える
ケアマネジャーの仕事は、介護職のようにある程度毎日決まった業務をするわけではなく、ご利用者やご家族連絡調整をしながら、自分で仕事のスケジュールを管理しなければいけません。
そのため、スケジュール管理が得意な人はケアマネジャーに向いているでしょう。
また、主な仕事であるケアプランの作成については、どれくらいご利用者の立場に立って物事を考えられるかで、サービス内容の充実度も変わってきます。
デスクワークが主ですが、介護職と同じくらいご利用者一人ひとりに寄り添い、理想的なサービス計画を常に考えていく必要があるでしょう。
まとめ
今回は「ケアマネジャーになるにはどうすればいいの?」というテーマで解説しました。
- 未経験からであればケアマネジャーの資格取得まで最短でも8年かかる
- ケアマネジャーはご利用者の理想的な生活実現のためのサポート役
- ケアマネジャー取得によって給料アップやキャリアの変更などが可能
ケアマネジャーは、かんたんに取得できる資格ではありません。しかし、資格取得によってさまざまなメリットがあり、仕事の幅も広がります。
とくに「この先介護職としてずっとやっていくのは体力的に難しいのでは?」という人には、ケアマネジャーの資格取得を目指してみるいいでしょう、
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