2023年12月1日からアルコール検知器(アルコールチェッカー)を使用したアルコールチェックが義務化されます。チェックは運転の前後に必ず行わなければなりません。
「仕事前や仕事中にアルコールなんて摂取するわけないから大丈夫!」と思っている方も多いでしょう。しかし、アルコールを飲んでいなくても検知器が反応してしまうことがあるんです!
飲酒していないのにアルコールチェックで引っかかってしまい、その日の勤務ができなくなってしまっては周りに迷惑をかけてしまって大変ですよね。
そこで今回の記事では、アルコールチェックで引っかかる食べ物や飲み物、その他にも引っかかる原因について解説します。アルコール検知器の正しい使い方や、酒気帯びの基準、罰則も解説しますのでぜひ参考にしてください!
アルコールチェックで引っかかる原因とその対処法
早速、アルコールチェックで引っかかる原因とその対処法を確認していきます。
食べ物・飲み物
アルコールチェック前に摂取した食べ物や飲み物が結果に影響するケースがあります。
引っかかる可能性がある食べ物や飲み物の一例は以下の通りです。
食べ物 | あんパン・蒸しパン・キムチ・奈良漬け・粕漬け・味噌汁・塩辛・ミント系のガム・タブレット・洋菓子・チョコレート |
飲み物 | 清涼飲料水・栄養ドリンク・エナジードリンク・ブラックコーヒー・ノンアルコールビール |
パン・お漬物・お味噌などの発酵食品は、製造段階で発生するわずかなアルコールが検出されてしまうことがあります。洋菓子やチョコレートなどは作るときに洋酒を使うものがあります。気づかないうちに摂取しないように注意しましょう。
飲み物も、清涼飲料水や栄養ドリンクなどがアルコールチェックに引っかかることがあります。また、ノンアルコールと表示されている飲み物も、微量のアルコールが含まれていることがあるので注意が必要です。微量でもアルコールが含まれる飲食物を理解しておき、摂取しないようにしておくことが必要です。
また、ブラックコーヒーなど実際にはアルコールが含まれていないものでも検知してしまうケースがあるので、反応しやすいものは把握しおきましょう。
喫煙後
たばこを吸った直後の口腔内には一酸化炭素が残っているため、アルコールチェッカーが反応してしまいます。
測定を行う際は、喫煙後時間をおいてうがいをしてから測定しましょう。喫煙者の方であれば仕事前に一服したい方もいるかもしれませんが、運転直前は我慢する必要があります。
口腔ケア用品
洗口剤使用や歯磨き粉などの口腔ケア用品にはアルコールが使用されているため、アルコールチェッカーに反応が出る場合があります。
アルコールチェックの前に口腔内を清潔にしておきたいところですが、食事や喫煙とともに口腔ケアも早めに済ませておきましょう。
こちらも、時間をおいてしっかりうがいをしてから測定するようにしてください。
前日のアルコール
前日に飲んだアルコールが翌日に残っていて、アルコールチェックに引っかかってしまうことがあります。
アルコールの分解速度には体重や性別、体質によっても個人差があります。アルコールの血中濃度のピークは飲酒後15分〜2時間後に現れることが一般的で、その後ゆるやかに下降していきます。
国土交通省の「飲酒に関する基礎教育資料」によると、アルコールの分解にかかる時間の目安は1時間あたり4gです。350mlのビール(5%)であれば、アルコールが体内から消える推奨時間は3.5時間、ビール1ℓで10時間、2ℓで20時間です。
1ℓで10時間もかかるので、前日に飲みにいった場合などは翌朝に影響することが十分に考えられます。分解速度はあくまでも目安で、体型以外にも肝機能が低下している方なども分解スピードが遅くなってしまうケースがあるため、自分の体質を把握しておくことが大切です。仕事の前日は節度を持った飲酒をしないと、翌日の勤務で迷惑をかけてしまうため注意しましょう。
体内のケトン体
アルコール検知器が体内のケトン体に反応してしまうことがあります。
ケトン体とは、体内でエネルギー源として利用される物質です。糖質制限や個人の体調によって高くなり誤認してしまいます。
国土交通省のQ&Aには以下の見解があります。
医師の検査・診断において、疾病により体内からアルコール以外で検知器が反応する物質が発生している可能性があるとされた運転者については、当該疾病の状況が安全運転に悪影響を及ぼさないことを確認した上で、点呼時の酒気帯びの有無の確認においては、アルコール検知器の検知結果にかかわらず、運転者の顔色、声の調子、酒の臭い等から総合的に判断し運行の可否を決定する必要があります。
国土交通省 自動車運送事業におけるアルコール検知器の使用について
飲酒していないのに反応してしまう場合は、医師に相談する必要があります。まずは職場に相談してみると良いでしょう。
体につけるものや周囲のものに反応する
アルコールを実際に摂取していなくても、身につけているものや周囲にあるものに反応してしまうこともあります。
例えば、整髪料・アフターシェーブローション・入れ歯安定などが該当します。
また、身につけていなくても消臭剤や芳香剤など周囲にあるものにも注意が必要です。アルコール成分が含まれるもので掃除をした後なども影響してしまいます。環境が影響していると考えられる場合は、しっかり換気してから再検査してください。
アルコール検知器の正しい使い方
アルコールチェックに引っかからないように、アルコール検知器を正しく使用することも大切です。
お手入れをしっかり行う
アルコールチェッカーは、定期的に掃除しておかなければ誤作動を起こしてしまいます。
息を吹きかけるものなので、コロナウイルスなどの感染対策のためにも清潔にしておかなければなりません。ただし、掃除をするときにアルコールを使用すると検知してしまうため注意が必要です。
取扱説明書に従って正しい方法でお手入れしてください。
保守点検する
アルコールチェッカーには寿命があるため、正しく作動しているか定期的に保守点検することが大切です。
国土交通省のホームページに掲載されている「アルコール検知器の保守」として、やらなければならないことは以下の点検です。
毎日 | ・電源が確実に入ること ・損傷がないこと |
少なくとも週1回以上 | ・アルコール摂取していない人が使用したときに検知しないか ・アルコールを含有する液体又はこれを希釈したものを、口内に噴霧した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知するか |
メンテナンス状態や管理によって差異が発生する可能性があるため、正しいメンテナンスで長く使えるようにしましょう。
アルコール検知器に指定された機器はない
アルコール検知器は、とくに国土交通省から推奨されているメーカーや機種などは決められていません。
数値が出なくても、ランプや音などで表示して知らせるものでも問題ないとされています。
アルコール検知器の使用が必須となったため、多くのメーカーからさまざまなタイプが登場しています。数値が記憶しておけるものや、端末と連動しているものなど便利な機能を持つものが販売されているので、自由に選択することが可能です。
タニタ アルコールチェッカー
■検知方式:半導体ガスセンサー
■測定範囲:0.00-0.50mg/L、0.05mg/L単位(0.05mg/L未満は0.00mg/L表示)
■表示方法:LCD12段階表示
■商品サイズ:幅 32mm×高さ105mm×奥行 17mm
■重量:約31g(乾電池含まず)
■電源:DC3V 単4形アルカリ乾電池2本
■過去メモリー:前回値(前回値から増減比較機能付き)
息を吹きかけるだけで、呼気中のアルコール濃度をお知らせします。
アイリスオーヤマ アルコールチェッカー
■検知対象ガス:呼気中アルコールガス
■オートオフ・電池交換表示機能付き
■電源:単4乾電池×2本(別売)
■重量:50g
■検知レベル:0.00~1.00mg/L
■サイズ:37×20×102mm
息を吹きかけるだけで呼気中のアルコール濃度を測定できます。
電池交換表示機能付きです。
アルコールチェック記録表
■仕様 : A4版 片面 100枚/1冊
飲酒運転の基準とは
飲酒運転の罰則で規定されているのは「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類です。
それぞれの基準は以下の状態の人を指します。
酒気帯び運転 | 身体のアルコールが、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上、又は血液1ミリリットル中0.3ミリグラム以上の状態の人 |
酒酔い運転 | アルコール量にかかわらず、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態の人 |
守らなかった場合の罰則
飲酒運転を行った場合には厳しい行政処分と罰則が科されるのは言うまでもありません。
具体的な処分や罰則の内容についても確認しておきましょう。
⚫︎行政処分
違反の内容 | 処分の内容 | 違反点数 |
酒酔い運転 | 免許取消し 欠格期間3年 | 基礎点数35点 |
酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満) | 免許停止 期間90日 | 基礎点数13点 |
酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上) | 免許取消し 欠格期間2年 | 基礎点数25点 |
⚫︎罰則
酒酔い運転 | 酒気帯び運転 | |
車両等を運転した者 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
車両等を提供した者 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
酒類を提供した者又は同乗した者 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
飲酒運転で罰則が科されるのは本人だけではありません。車両提供者にも罰則が規定されているので、従業員が飲酒していると知りながら社用車で業務に当たらせていた場合にも、運転手と同じ罰則が科せられます。
罰金だけでなく、事業所としての信用も失ってしまうことになってしまうおそれがあるため注意が必要です。
アルコール検知器は誤作動やメンテナンスに注意を
今回の記事では「要注意!アルコールチェックで引っかかる食べ物とは?原因と対処法を解説」と題して解説しました。
普段飲酒される方はもちろん、飲酒しない方も思わぬことで検知に引っかかってしまうことがあるため注意が必要です。
アルコールが検知されてしまうと、その日の業務に差し支えてしまうのはもちろん、罰則や社会的信用も失いかねません。
検知されないためにも、生活習慣を見直しルールを再確認しておきましょう。
投稿者プロフィール
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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