当たり前にサービスを提供出来ることなんて無い

たかが髪、されど髪

在宅訪問の帰り際に「生きとったらまたお願いするね」と、笑いながら冗談交じりに仰ったご利用者様がいらっしゃいます。

「生きとったら」と言われれると少し大げさな気がするかもしれませんが、ご利用者様の多くはご高齢ということもあり、ご予約頂いていても急遽入院されたり、具合が悪かったりと訪問理美容を楽しみにされていたのにキャンセルされることがしばしばあります。

以前もスタッフがご自宅に着いた時がちょうど、ご利用者様が救急車で運ばれていくタイミングだったことがあります。(ご利用者様は転倒により骨折されたそうです。幸いなことに大事には至らなかったそうです)

いつまでも当たり前のようにサービスを提供させて頂けることなんて、絶対に無いんです。

つい最近、毎月ご利用頂いている方のご家族よりご利用者様が亡くなられたとご連絡を頂き、驚きと悲しさで打ちひしがれました。

その方は亡くなられる1週間前にご利用頂いており、その訪問時に「少し調子が悪いからキャンセルしようと思ったけど、せっかく頼んだのでカットとカラーをしてもらいます」と仰っしゃり、施術中は終始ご機嫌でいつもの様によくお話し下さいましたが、翌週に誤嚥性肺炎で亡くなられたそうです。

後日ご家族から「キレイな髪で、穏やかなお顔だった」とお礼の言葉を頂いた時、胸がいっぱいになり、改めてご利用者様との時間を大切にし、一期一会の精神で施術に向き合おうと決意しました。

私たちの仕事は目の前にいらっしゃる方に精一杯接し、喜んで頂くことです。

心の奥底に「敬」を掲げ、優しさに包まれた空間を作り、手渡すように言葉をかけていきます。

そして、訪問理美容は決してご利用者様だけのサービスではなく、ご家族といった周りの方にとっても喜ばれる仕事でなければいけません。ただ髪を切るだけの仕事ではないんです。

これからもケアマネさんやヘルパーさんと協力しながら、ご利用者様の美容サポートに努めます。

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