訪問看護で働く看護師(訪問看護師)は、利用者さんやご家族が思い通りの在宅生活を実現できるように支援する、重要な人材です。今、訪問看護の重要性や需要が高まっている一方で、訪問看護の仕事はときに「きつい」「大変」といわれることがあります。
この記事では、現役の訪問看護師に訪問看護の仕事が「きつい」といわれる理由や、「きつい」と感じるときの対処法などを聞いてみました。
訪問看護の仕事で「きついなあ」と感じている人、これから訪問看護師を目指そうとしている人、もちろん介護の仕事をしている人にも役立ててほしいと思います。
訪問看護師の仕事内容は?

訪問看護って実際どんなことを利用者さんの自宅で行っているんでしょうか。
訪問看護とは、看護師が自転車や自動車に乗って利用者さんの自宅や施設を行き来し、医療ケアから介護分野のケアを包括的に行うものです。
看護師は訪問看護において幅広い仕事を担当します。
- 体温、血圧、血糖値などの測定
- 健康状態の確認
- 在宅酸素、呼吸器の管理
- 点滴、服薬管理
- 日常生活のサポート
- リハビリテーション
- 療養生活相談対応、支援 療養環境の調整、支援
訪問看護では、一般的な看護師と異なる仕事を担当したり特殊な働き方が要求されたりもしますが、訪問すると利用者さんやご家族が安心される様子がよくわかります。
参考:厚生労働省資料
訪問看護師のリアル|仕事を選んだ理由

ずっと総合病院で看護師をしてきました。でも、経験を積めば積むほど「これって私がやりたかった看護師の仕事かな?」と思いだしたんです。もっと患者さん一人一人に関わりたいなぁと。
夜勤や残業、「患者は患者」という感覚が負担だったこともあって、友人がケアマネジャーの資格を取ったことがきっかけで、これからはやっぱり在宅の「看護」の時代じゃないか、ならば在宅の訪問看護をやってみよう、と思ったんです。
訪問看護は新卒では難しいと言われていますが、最近では、新卒で訪問看護を目指す若者も多いです。理論や実技の習得の研修も現在ではいろいろなところで実施されています。
訪問看護師が身近な存在になり始めて少し嬉しいです。
訪問看護師のリアル|訪問看護の仕事って本当に「きつい」?
訪問看護師の仕事って本当に「きつい」仕事ですか?
実は訪問看護って、「在宅だからのんびり」「状態が安定した人の看護」「ゆっくり丁寧に看護できる」というイメージを持っていました。
でも、実際に在宅医療に足を踏み入れてみたら、イメージしていたものとは全く異なっていて衝撃を受けたことを覚えています。
病院とのギャップに驚きながらも、次々と初めての経験が訪れ、あっという間に時間が過ぎていきましたね。 想像していたものとは異なる環境で、一人で考えて動かなければいけない…そういう面ではやっぱり最初は本当に不安でしたし、思っていたよりもきついなと思いました。
訪問看護の仕事が「きつい」といわれる6つの理由

今、在宅での看取りも多くなって訪問看護の重要性が高まっています。しかし、巷では人材不足もあって訪問看護は「きつい」と言われています。どんなことが「きつい」と思うのかを実際の訪問看護師に聞いてみました。
身体的な負担
訪問看護では、病院ほど看護に適した設備のない環境で働くことがあります。
ベッド上の衣服の更衣や排せつの介助、介助用の手すりのない環境での入浴介助や清拭、食事や服薬の介助、段差の多い自宅での移動介助などを時間内で行わなければいけないこともあり、体力的な面で「きつい」と感じることが多いかもしれません。
また、訪問看護はクリニックや病院での勤務とは異なり、自分自身で利用者さんの自宅から次の利用者さんの自宅に移動する必要があります。私は車で移動するのがひとつの気分転換になりましたが、移動自体が「キツイなあ」と言ってる人も実際いましたね。
オンコール対応の負担
訪問看護の看護師は、一般的に当番制でオンコール対応を行います。オンコール対応とは、営業時間外や休日の緊急呼び出しに備えるために専用の携帯電話を持ち、自宅で待機することです。
当番日には常に電話を意識する必要があるのでこれは正直「きつい」です。
私の訪問看護ステーションは、オンコールの基準やマニュアルを決めていたり、看護師の訪問エリアを近場や知っている範囲にしていたので、ずいぶん楽でした。
オンコール対応については、ステーション選びの一番のポイントとなるところかもしれません。
一人で判断することの負担
訪問看護では、現場で迅速かつ的確な判断をする必要があります。
一人での訪問がメインとなるため、「間違っていたらどうしよう。」と不安になることも多いです。
訪問看護という仕事は一人で判断することが多い職業です。でも、そこにきちんと基準が設けられていたり、マニュアルの整備があることで負担は非常に軽減すると思いますが、自分で判断することが負担に感じる人もいます。
家族関係の負担
訪問看護では、ご家族との人間関係を構築することも重要です。
利用者さんを最初に訪問してからしばらくは、ご家族が訪問中ずっと側についておられることもありました。
訪問看護が入るということは、利用者さんが病気やケガの療養をされている時なので、ご家族の相談や悩みを聞くことも多かったです。ただ、訪問は時間が制限されているので、ちゃんとコミュニケーションが取れているのか不安ではありました。
時には利用者さんやご家族と関係性を作ることが難しいこともあります。在宅でじっくりと関わるからこそ起こる大変さもありますね。
多職種との連携の負担
病院ではあまり関わることのなかったケアマネジャーを始めとする介護保険サービス担当者や、地域の病院・クリニックの医師たちとも連絡を取り合うことがあります。職種ごとに思考パターンや価値観が異なることから、意見が衝突することも時にはあります。
だからこそ、利用者さんを取り巻くチームを支える各サービスについて、それぞれの業務内容を知っていることが重要です。 医療・看護・介護の十分な連携ができるように、「これは看護の仕事じゃない」と言わないようにしています。
訪問先の環境の負担
訪問先にエアコンが無かったり、手すりやその他の看護・介護用品が無かったり。病院では当たり前に揃っていたものが在宅では準備ができない場合があります。そのため、事故防止には非常に気を遣います。
そこにあるもので臨機応変に対応しなければならない時もあるので、結構アイデア力もいるかな。
また、複数の訪問先を回る場合があるので、やはり自分自身のためと利用者さんのために感染症対策や衛生管理にはかなり気を付ける必要がありますね。
訪問看護師のリアル|訪問看護がきついと思ったときに試した3つの対処法

訪問看護の仕事が「きつい」「もう嫌だ」と思った時、私は自分に合う対処法を探してできるだけその状況を改善しようとしました。私が試した主な対処法は3つです。
誰かに話す、相談する
身体的な負担や人間関係の悩みによって「きつい」と感じる場合は、まずは友人に、次に職場に相談しました。「愚痴ってもいい?」と友人に話すのが最初です。(もちろん守秘義務は守ります。)
妥当な要求であれば、職場に話します。事業所で訪問件数の調整・シフト変更などの対処を取ってくれる可能性がありますから。移動に伴う身体的な負担は直行直帰スタイルに切り替えてもらう手もあります。
また、ご家族や利用者さんとの人間関係の悩みがあった場合も、状況に応じて訪問先を変更してもらえます。虐待事案やセクハラやパワハラ、カスハラなど事業所に入ってもらうことで解決できることもありますので、報告・連絡・相談はこまめがいいですね。
気分をリフレッシュする
私の場合は、家族と普通に過ごす時間で仕事から解放され、心身がリフレッシュされたと思います。子どもの宿題を見たり、一緒にゲームをしたり、近所の人と喋ったり。
仕事に繋がらない人間関係が、気分のコントロールにとても役立ちました。
独身の人は、美容院やマッサージ、ジムに行ったり、趣味のアニメやゲームにはまったり、好きな車で出かけたり…いろいろプライベートを充実しているようです。
環境(職場)を変えることを検討する
なかなか状況が改善できず「行きたくない」という感情が出てきてしまったら、一旦、長期で休むか、環境(職場)を変えることを考えるのも良いと思います。「必ずしもここで頑張らなくてもいい」と考えると気が楽になります。看護師の仕事は、病院やクリニック、介護施設などいろいろあります。 看護にもいろいろな形があるので、あまり思い詰めなくてもいいのではと思います。
訪問看護師のリアル|訪問看護のやりがい

私は、一人一人の利用者さんと密に関わりたくて訪問看護という道を選びました。
訪問看護は、ひとりの利用者さんを担当し、その人の長期的な変化を見守ることが可能です。自身が関わったことで回復していくご本人の様子を見ることは、看護師としての自信につながります。
訪問看護の現場では利用者さんやご家族から感謝される機会も多いので、「あなたが来てくれると安心」などの言葉を聞けたときは、仕事の苦労が報われたように感じます。
また、他の看護関連の職種よりも自分のペースで働きやすいことや、土日祝の定休や夜勤がなかったことなどが生活リズムを維持しやすく、家族に負担をかけなかった事の要因かなと思っています。
私はパートでも常勤でも働きましたが、収入も意外と良かったです。
処遇に関してはそれぞれの訪問看護ステーションで違うと思いますが、ライフステージに応じた自分に合った働き方を見つけることはできると思います。
まとめ…実際に訪問看護師さんと話してみたら…

今回話を聞いたのは、知人のベテラン訪問看護師さんです。
長年総合病院で仕事をしていて、「今度、訪問看護をしようと思っているんだけど」と相談を受けたのは15年以上も前のこと。訪問看護を始めた頃の彼女は仕事から帰ると、ビニールエプロンやタオルや靴下を毎日何枚も物干しに干していました。
大変なことは多いけれど、看護師としてのスキルを使って、利用者さんやご家族に感謝の言葉をかけられたときの喜びは、病棟で働いていたとき以上のものだと彼女は話していました。
訪問看護は業務に関わる身体的・精神的負担などを理由に、「きつい」といわれることもあります。
けれど、訪問看護の仕事の「きつさ」は、適切な対処法と職場環境で軽減を図ることが可能です。基準やマニュアルに関しては事業所でよく検討し作成したら、各事業所や利用者さんに通知することでかなり負担が軽減されます。
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投稿者プロフィール

- 介護福祉士・主任介護支援専門員・認知症ケア専門士・社会福祉士・衛生管理者・特別養護老人ホーム施設長・社会福祉法人本部長経験と、福祉業界で約25年勤務。現在は認知症グループホームでアドバイザー兼Webライター。
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