訪問介護を行った際に必要な作業というと、実施記録の作成です。
完成した記録用紙は、利用者やサービス提供責任者などさまざまな人にチェックされ、利用者に印鑑を押してもらい、責任者もチェックの意味で印鑑を押すのが習慣になっています。
しかし最近、印鑑廃止を叫ばれるようになり、訪問介護の実施記録に押印している印鑑についても、今後どうするべきなのかを考えていかなくてはなりません。
今回は、訪問介護の実施記録について学び、印鑑の役割や廃止するメリットについて紹介します。
訪問介護のサービス実施記録に利用者の印鑑押印欄がある理由
まずは、訪問介護におけるサービス実施記録の確認印欄がある理由について、サービス実施記録の内容を紐解きながら説明します。
そもそもサービス実施記録とはどういったもので、決まった様式や記載項目にはどんな内容が含まれているのでしょうか。
サービス実施記録とは
サービス実施記録とは、いつ、誰が、利用者にどんなサービスを提供したのか、利用者の体調の様子などを記録する書類です。
サービス提供記録や訪問介護記録とも呼ばれています。
訪問介護のサービス実施記録の内容は、報酬請求の根拠として使われます。
その他には職員同士で共有するのはもちろん、控えを利用者や利用者の家族に提供することで、利用者がどんなサービスを受けたのか、また、利用者の家族が利用者の様子などを把握する役割もあります。
サービス実施記録があれば、今後、どんなサービスが必要なのかの判断もしやすいでしょう。
また、利用者に計画通りのサービスを提供できているのかをチェックする書類にもなり、利用者とスタッフを守る役割もあります。
サービス実施記録の様式と項目
サービス実施記録の様式は、紙をベースとするものとスマホやパソコンなどで記録できるデジタル版があります。
現在はまだまだ紙ベースのところが一般的で、介護ソフトを販売している「カイポケ」や、介護・福祉事業所向け商品を販売している「caps(キャプス)」などで、サービス実施記録用紙を購入できます。
ただ最近は、印鑑廃止や業務の効率化にあたり、電子化する流れが急速に加速しています。
サービス実施記録の項目はどの様式もだいたい同じで、利用時間、体温や血圧などの健康状態、食事介助や外出介助、洗濯、掃除、買い物などのサービス内容、そして、利用者と接する上で気づいた点や気になったことを「申し送り」として記入する欄があるのが一般的です。
サービス実施記録に確認印欄がある理由
ほとんどの書式には利用者や責任者に押印してもらう確認印欄がついています。
この欄はどういった理由からついているのでしょうか?
全国で初めてサービス実施記録を作成したのはキャプスですが、こうした書類を作る際、「確認印を押すところがあったらいいよね」と、思ったからというのが理由です。
キャプスの書式は今や、広く一般的な書式として扱われ、多くの印刷会社やメーカーなどでも同様の確認印欄があるタイプが販売されています。

実地指導はこれでOK!おさえておきたい算定要件 訪問介護編
訪問介護事業所に対して行われる「実地指導」で、事業所の指定取消などの行政処分につながるような運営基準の誤り、報酬の返還につながるような算定要件の誤りを起こさないための、主に事業所の管理者向けの解説書です。
サービス実施記録の印鑑は必ず必要なの?
通常、紙ベースのサービス実施記録では、サービス終了後に利用者がサービス内容に間違いがないことを確認のうえ押印し、その後事業所で責任者が確認・押印し保管するといった流れです。
そのため紙ベースの場合、利用者から印鑑を押してもらうのを忘れ、責任者から書類を差し戻されるという経験をする人もいるでしょう。
印鑑欄があることから、監査でも印鑑の有り無しをチェックされることもあります。
しかし、電子化されたサービス実施記録では印鑑が押せません。
そうなると、印鑑は必要なのでしょうか、それとも不要なのでしょうか?
答えは不要です。
法律上、サービス実施記録に押印しなければならないという定めはありません。
これまでの習慣で、サービス実施記録書に押印欄があるために、印鑑が必要と思い込んでいるだけなのです。
印鑑を廃止するメリット
印鑑廃止で得られる最大のメリットは、業務の効率化です。
これまでは押印欄があるために、印鑑をもらい忘れた場合には、利用者の家に改めて訪問したり、上司を探したりする必要がありました。
介護スタッフはもちろん、利用者にとっても面倒な作業です。
印鑑を廃止すれば、そういった面倒な雑務に追われることがなくなるでしょう。
印鑑を廃止することで、サービス実施記録の電子化も進みやすくなり、時間や場所にとらわれない働き方ができるようになります。
近年、多くの記録アプリやシステムが出てきていますが、それらにも「確認印」という概念はありません。
アプリやシステムによっては、電子チェックという形で、利用者宅でQRコードを読み取るなどの機能がある場合もありますが、そもそも法律的に必要のないものであれば、不要と考える事業所も多いのが実際のところ。
今後、サービス実施記録部分の電子化を検討することを考慮しても、まずは確認印欄なしタイプのサービス実施記録を使われてみてはいかがでしょうか。
確認印欄なしタイプのサービス実施記録
確認印欄があると、どうしても印鑑を押したくなるものです。
また押印されていないと、押印が必要だと不安に思ってしまいます。
キャプスでは、確認印欄なしタイプのサービス実施記録用紙を販売しています。
確認印欄がないタイプを導入して、押印の習慣をなくせば、サービス実施記録の電子化もスムーズに進められるでしょう。
確認印は不要!テレッサモバイルの導入もおすすめ
確認印は法律上は「不要」ということをお伝えしてきましたが、「それならもう電子化してもいいな」と思われた方もいるのでは?
テレッサモバイルは、サービス実施記録の部分のみを電子化できる、記録に特化したアプリです。
シンプルな機能性、また、多くの人が活用しているLINEを使ったアプリなので、アプリやシステムに苦手な方も、高齢のヘルパーさんでも、スムーズに操作することができます。
確認印が気になって電子化を躊躇していた事業所も多いと思いますが、これを機に、サービス実施記録の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
訪問介護の実施記録に印鑑が必要と思い込んでいる人が多いですが、実は必要ないことをわかっていただけたと思います。
印鑑をなくせば、業務効率が向上し、スタッフが働きやすくなるだけでなく、利用者にとっても面倒な作業や負担が減るはずです。
印鑑不要であることを事業所内で周知するためにも、まずは確認印欄のない書類を使い、電子化という次のステップにスムーズに移行できるよう工夫すると良いでしょう。
投稿者プロフィール
-
caps
-
介護・福祉の総合マーケットキャプスの管理者です。
介護事業所・介護に携わる皆様のお役立ち情報を発信しています。
コメント