上司から個人目標を書くようにと言われて、「めんどくさいな」と、思ったことありませんか?
個人評価に影響するため、仕方なく提出することもありますが、聞いてください!
目標設定は、看護師自身とご利用者さま、そして組織にとって、とても大切なことなのです。
この記事を読むと、個人目標の大切さがわかり、自分とご利用者さま、そして組織のために目標を立てたくなるかもしれません。
あなたとあなたの周囲の人が有意義な時間を過ごせるように、目標が達成しやすいポイントなどもまとめました。ぜひ、ご覧ください。
介護施設看護師の個人目標は、そもそも必要なの?
介護施設の看護師に目標は必要だと思います。
なぜなら、目標や計画を立て実行できると、知識を深めたり、技術を磨いたりして、ご利用者さまや組織などに「相互的」に有益になるからです。
相互性を念頭に置いたうえで、ご利用者さまの健康と生活を考え、個人のスキルを基準に計画を立てるとよいでしょう。組織や社会の一員であることは忘れずに、組織の理念やチームのニーズなども視野に入れたいですね。
■ 目標を立てた場合に得られる効果
・効果的かつ効率的にスキルアップできる
・モチベーション維持できる
・夢に近づける
・質の高い看護をご利用者さまに提供できる
・チームや組織、社会に貢献・還元できる
など
看護師の経験やスキルによってビジョンは異なりますが、「何のために、誰のために」働いているのか明確にすると、計画設定はスムーズです。
目標は、紙に書いた人が成功する?!
「タメになるだろうけど、面倒だ」と、思う方もおられるでしょう。
しかし、目標を立てようと思えるような研究があります。
ハーバード大学の目標設定と達成に関する追跡調査です。目標がなかったグループに対して、目標を紙に書いたグループの年収は10倍程度の差がみられたというもの。
年収アップが最終目標でなくても、目標を紙に書き、明確化かつ視覚化することで、課題に気付き努力しやすいのでしょう。
また、日本看護協会は、全世代へ包括的に、質の高い看護が提供できるよう「JNAラダー」というシステムを開発しました。多くの病院で活用されており、レベルにあわせて、看護師の成長支援・能力向上を目指すツールです。
ホームページでは、標準タイプのチャート例が公開中です。ダウンロードして活用すると分かりやすいでしょう。「高齢者介護施設における実践例」も紹介されていました。
個人や組織に合わせて、チャートをアレンジして使わせていただくと良いかもしれません。

ナース手帳
訪問看護ステーションで働く看護師さん向け手帳 A5サイズで見やすく、スケジュールをしっかり書き込めます。
●ToDoListがあり、スケジュールや目標の管理がしやすい。
●1日8件までスケジュールが記入できる。
個人目標が具体的に立てられる【5つの質問】
あなたの成長は、ご利用者さまや組織のためにもなることを念頭に置いて、自分がどうなりたいかというビジョンから個人のキャリア目標を考えてみましょう。
どのような看護師レベルでも、以下の5つの質問を視野に入れると、達成しやすい目標をササッと立てることができます。
1.将来、あなたは何のために、何になりたいですか?
「なりたい」と素直に思いついたことで構いません。
たとえば、
・訪問看護ステーションを立ち上げるために専門性を高める
・資格をとりたい(老人看護専門看護師・認知症ケア・ケアマネ)など
思いついたことを書き出します。そして、一項目ずつ考えます。
そして、「専門性を高める」ためにはどうしましょう?
・看護協会研修に参加
・必要な資格をとる
・看護ケア実践
など
そして、もっと具体的な数字や期間などを入れるとクリアしやすいです。
達成可能なものや優先順位の高いものから選び実践していきます。定期的に評価して、改善していけばOKです。
2.課題や問題は明確ですか?
課題や問題を書き出すと、一つ一つに対する行動計画が立てられます。
たとえば、
・出来ないこと
・人間関係
・ご利用者さまのニーズ
など
思いつくだけ紙に書き出して、優先順位を付けて、1項目ずつ具体的に考えてみましょう。
3.尊敬できる先輩はいますか?
「先輩のようになりたい!」と、思える先輩が存在する場合は、信頼関係を構築し、先輩の看護観などを観察しましょう。プライバシーを尊重できる範囲で、真似したり、相談にのってもらったりすると目標が達成しやすいかもしれません。
4.目標は具体的ですか?期限はありますか?
1.2.3.で、大きい目標をとらえられます。その目標を消化できるレベルまで、細かく具体的に書いてみましょう。
たとえば、「訪問看護ステーションを立ち上げたい」という大きな個人目標があったとします。それを「〇歳までに訪問看護ステーションを立ち上げる」に変えると、限られた期限の中での達成率は高くなります。
さらに細かい具体的な目標にするために「数値化と期限」を設け、5W1Hで書けると目標達成しやすいです。
たとえば、帰宅後〇〇について〇分勉強する。ご利用者Aさんの〇〇軟膏の作用や副作用を〇日までに調べて表を作る。など、行動可能なものがよいです。
小さな目標をクリアすることで、成功体験が得られ、自己肯定感も維持できます。
5.目標は達成できましたか?
定期的に目標を評価し、達成できていない項目は、内容や方法を変えてみましょう。
分析してブラッシュアップすることで、目標達成度は上がります。
「計画・実行・評価・改善」を繰り返すことが大事です。
失敗を恐れず、覚悟を決めて行動すると達成率は高いです。困難が多くても、勉強だと思うと行動に起こせるかもしれません。達成が無理そうなら視点を転換をしましょう。
また、達成しそうになったら、次の目標を具体的に立てることもおすすめします。燃え尽き防止にもなるので、次の目標を立てましょう。
注意点!プライベートすぎる目標は内密に。
目標を提出する場合、現状からかけ離れすぎている目標や、いま所属している組織と関係ない目標、個人的すぎる目標などは上司に見せない方がよいかもしれません。
同じ意思を持つ仲間や信頼している上司なら、大丈夫ですが、「無理だよ」などと言う上司や同僚もいます。そうなると、モチベーションが下がります。組織から提出を求められる内容だけ抽出して提出しましょう。
本気の目標がある場合、コツコツモクモク行動するのみです。モチベーション維持のため、自分へのご褒美も忘れないでください。
まとめ
自主的に目標を立てると課題が明確になり、行動を起こしやすくなるため有益です。おおげさではなく、目標を立てる行為が、超高齢化問題に対応する礎になるかもしれません。
所属している組織によって特徴や理念は違うでしょうが、ご利用者さまと組織、あなたのニーズは相互関係があります。個人目標で、ご利用者さまに寄り添い、知識と看護技術と人間性を高めると、組織に貢献できます。また、社会への貢献につもながるのです。
目標を立てていない場合は、日本看護協会のJNAラダーを活用したり、5つの質問を参考にしたりして、ぜひ目標を立ててください。
「失敗は成功のもと」と言われます。うまくいかなくても、勉強と思えたら、目標達成は遠くないです。自分のため、みんなのためにも、目標や行動内容を修正して、また行動したいですね。
投稿者プロフィール
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戸田看護師
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看護師歴20年。病棟から介護施設・訪問看護などで勤務。2020年からライター活動を開始。みなさまのお役に立てるような記事を作成したいです。どうぞよろしくお願いいたします。
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